当たり前ですが、不動産には、動産のように名前を書いたりできません。場合によっては常に管理下において占有することが難しい場合だってあるかもしれません。
そんな状況で、知らないAさんが、自分が所有者だと言ってきたらどうしますか?Aさんに対して、自分が所有者であることをどうやって主張しますか?
それが登記なのです。登記簿の謄本に所有者として名前がのっている。そのことで、自分がその不動産の権利者だと主張できることになります。これを登記の対抗力といいます。
不動産売買では、売主がその不動産の持ち主です。登記簿に所有者として載っている登記名義人のはずです。もちろん、公的証明書と照らし合わせてご本人様確認をさせていただきます。そしてもう一つ、確かに所有者で確からしいと判断する根拠が登記識別情報です。
登記識別情報通知は権利を取得する登記が完了したら、新しい名義人に対して権利の数(不動産の個数)ごとに発行されます。上記見本の一番下の12ケタの英数字は実際には袋とじになっており、破らない限り見えないようになっています。
登記識別情報通知はその暗号を知っていることが所有者様の証明となります。その不動産を取得した際に発行されるものを持っているのだから所有者の可能性が高いでしょうと判断されます。
なぜ、暗号が隠されているかというと、これを盗み見た第三者が番号を控えておけば、所有者のふりができてしまうからです。そのため人目にふれないようになっています。(ご本人であっても開けないでくださいとご案内しています。)
不動産の価値は本当に様々ですが、中には一生かかっても稼げないくらい高額なものもあると思います。その所有権を担保するための登記を担当するのが司法書士です。識別情報通知も何の意味も無い英数字の羅列が大変な価値の不動産の所有者を担保するものになります。改めて、その責任の重さを自覚すると共に、本人確認や権利関係の確認を慎重に行っていきたいと思います。
※識別情報通知は受け取らないという選択をすることも可能です。
※識別情報を無くした場合も、費用と手間がかかることにはなりますが、一切売却ができなくなる訳ではありません。
※識別情報を万一第三者に盗み見られた可能性がある場合、失効の手続きもございます。お問合せください。
※識別情報通知はオンラインが発達する前は権利証といって、体裁も取り扱いも少し違ったものでした。