事務所で大ゲンカ事件

遺言について
「うちは、家族円満だから、大丈夫」
「そんなに財産がないから大丈夫」
「まだ、死なないから大丈夫」
と思っているあなた。そんなあなたに是非読んで欲しくて書きます。

みなさんにはご兄弟がいらっしゃいますか?そのご兄弟とはどんな関係ですか。
そして、そのご兄弟の配偶者とは、どんな関係ですか。
色々なご家庭があると思います。でもまさか、争って本当に辛いおもいをすることは考えたことないのではないでしょうか。

そんなご兄弟が、事務所で激しくケンカをし、最後の最後まで決着できなかった事例です。
特別なご家庭のご兄弟ではありません。皆さんと同じご家族だったと思います。

事務所に依頼者の弟様とお兄様がいらっしゃいました。
弟様は最初の電話の時から、お母様の相続財産はご自身が全部引き継ぐことを信じて疑っておりません。当然そうするつもりでいらっしゃいました。
というのも、そのお母様の相続財産は、もともとお父様の相続財産で、お父様の相続の際はご兄弟ともに、全部お母様が引き継ぐことに納得して協議されました。
その先の相続についても、同じ不動産の持分を弟様が持っていたことから、弟様が所有するという話をしていたということです。(口約束)

でも、事務所にいらしたお兄様は突然「もらえるものならもらう」と言い放って、土地建物の4分の1の持分は絶対に自分が取得すると主張しました。
「持分で持っていても仕方ない」とか「税金かかるから使わない不動産所有すると大変」とか、説得はしましたが、検討の余地はなく、弟様からは「先生はどっちの味方なんですか!!」と怒られ、、そうこうしているうちに、過去の不満とか、お互いの悪口とか、どんどん出てきました。
現金を渡すというご提案もあっさり退けられ、「たとえ持分でもいいから自分も所有者として名義人になる」という選択肢しかありえないと強く言われてしまい、とうとう弟様は声を震わせて大号泣。その後もケンカは続くものの、解決の方向は全く見えずに事務所を閉める為お帰りいただきました。

お兄様がそんなに意見を曲げなかったのは、奥様の影響もあるようですが、弟様とお兄様の奥様は関係が良くないようでした。が、ご家族のことなので、あまり良く分かりません。

コバヤシが思ったことは、亡くなったお母様がこの状況を見たらいたたまれないだろうなぁということでした。ケンカの場で見ていたら、ものすごく辛かったと思います。もちろん、ご兄弟それぞれもとても辛い日々を送ったはずです。

遺産分割は両者が納得の上、実印を押印し、印鑑証明を取得しない限り成立しません。ですので、お兄様の意思が頑なであれば、絶対そのような登記はできません。
ここから先は諦めるか、弁護士の先生にお願いして裁判所で争うかになります。

お母様が遺言を一枚書いていたら、どんなに楽だったでしょう。そして、その遺言に付言事項として、どうしてその遺言になったのか、またそれぞれのご兄弟に対する想いなどを書き残していたら、最初内容に不満を持っていた方も、意外とあっさりご納得されます。

それまでも、手続き上、遺言があるかないかで大違いだという実感はありましたが、手間の問題以上にたった一枚の遺言書がいかに大切か強く思いました。

それ以降も、仲の良い友人が相続をめぐって兄弟ともめて「お金が絡むと、人は変わるんだ」と話していたのを耳にしたり、相続をめぐるトラブルは次々に話を聞くので、ますます、遺言を書く手間は、その効果を考えると余りあると確信しております。お手紙みたいなものですから、手間のうちにも入りません。

「やった方がいいかどうか」と言わずに、若い方も年寄りの方も、金持ちも貧乏人も、した方がいいか考える前に全員書くべきだと思っています。(定期的に)

兄弟は、最後まで仲良く、兄弟だからこそ助け合って生きていって欲しいものです。

雨はイヤですが、雨つゆに濡れたお花は綺麗

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