信託を組み立てる時、信託契約書は法律で必ず公正証書で作るという決まりはございません。しかし、実務では99%必ず、公正証書で作成します。
中には、公正証書で作成しなければならないと法律で定められているものもあります。
たとえば、先日お話した借地権のなかで、定期借地権というものがありますが、その中の事業用定期借地権(借地借家法23条)は、条文ではっきり「公正証書によってしなければならない」と定められています。
公正証書で遺言や信託契約書を作成する場合は、公証役場に手数料を支払いますが財産の価格によって2万円~5万円、それ以上になります。
そして、公証人による本人確認など、実際に公証役場に足をお運びいただく必要があり、少し手間がかかります。(どうしても外出の厳しい方などは、日程調整の上出張料を払って公証人に来てもらうことも可能です。)
お金と時間を使ってまで、どうして公正証書でする必要があるのか。そのメリットは
・人と意思の確認を司法書士だけでなく、公証人もする
→作成時点でのご本人の意思が確かにあったことの保証が確実である
→後々争いになった場合の証拠力が格段に高い
・偽造や印鑑の不正使用などの問題がない
・公正証書は公証役場に保管され、請求すれば再発行も可能
→書類を無くしたり、遺棄される心配がない
などが挙げられます。
そもそも、信託を組み立てたり、遺言を作ったりするのは、親族の間の揉め事をなくし、確実に確実な人に任せることを実現する為にあります。
そこで、その作成の過程で後々疑問をもたれる可能性を残したら意味がありません。せっかくやるのですから、より確実に実現するために、公正証書が有効だと思います。