以前ご紹介した謄本です。「差押」が入ってます。
「差押」って聞くと思いますが、
・そもそも「差押」が入った不動産は売れないのか?その「差押」が入ることの意味って何なのか?ご存じでしょうか。今日はこの点についてお話したいと思います。
抵当権がついている不動産に、借金の未払いがあった場合、お金を貸している銀行はその不動産を売却して、借金の返済にあてようとします。
この売却が「競売」です。
この一連の流れは、裁判所を通して行います。「その不動産の所在地を管轄する地方裁判所(民事執行法44条1項)」です。
「①不動産強制競売の申し立て
↓
②不動産強制競売開始決定→開始決定の債務者への送達
↓
③差押えの登記の嘱託
↓
調査、債権者への通知、物件明細、入札もろもろ 」(民事執行法43条)
最初にご覧いただいた差押の登記は③にあたり、お客様が法務局に登記の申請をするのではなく、裁判所が法務局に直接登記のお願いをします。これが「嘱託登記」です。
さて、この「差押」登記が入ることの意味、効果です。
「差押」が入った後、債務者がその対象不動産を売却しても売主買主の間でその売買は有効です!
有効なんですが、「(強制執行に参加する全ての債権者に)対抗することはできません。」
こういう表現、民法では良くあるのですが、法律行為は一旦有効に成立した上で、買主は売買で取得したことを関係者に主張することができない。ということです。これを「対抗力」と言います。
競売になった暁には、競売で落札された人に所有権は移り、買主は自分の所有権を主張できません。ところが、差押が入った後、競売に至らないケースも沢山あり、この場合、有効に売買は成立していることになります。
抵当権も同様で、差押入った後に更に設定された抵当権は、競売で落札された後、は対抗できません。対抗できないとは、買受人に対して、抵当権を主張できないということです。
このように、「差押」が入っても、権利の移転や設定は有効です。でも、その後権利をもつ人には、明らかにその方の権利が脅かされる可能性がかなり高いことが公示されています。
謄本みたら、一目瞭然ですから、それを知って取引した以上、権利失っても仕方ないです。
それを知った上で、取引すること自体は有効ということですね。
競売が無事行われた際の所有権移転、そして競売によって効力が無くなる登記、差押の登記の抹消も、裁判所→法務局の嘱託で登記が入ります。
競売に至らないうちに「差押」を抹消する時は、勝手には抹消されませんので、法務局ではなく、裁判所に差押を取り下げる依頼をします。その後、裁判所→法務局の嘱託登記になります。(登録免許税(金融機関が差押債権者だった場合)は、裁判所に払うことになります)
【ご参考】
民事執行法46条 ①差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる。ただし、差押えの登記がその開始決定の送達前にされたときは、登記がされた時に生ずる。
② 差押えは、債務者が通常の用法に従って不動産を使用し、又は収益することを妨げない。
民事執行法48条 ①強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、直ちに、その開始決定に係る差押えの登記を嘱託しなければならない。
② 登記官は、前項の規定による嘱託に基づいて差押えの登記をした時は、その登記事項証明書を執行裁判所に送付しなければならない。
なすもきのこもキライで、スイーツだけ好評でした💦プリンのマーロウの箱が、ぴったりで、気持ちよかったです(笑)#アリアム