抵当権の債務者に相続が発生した場合

住宅ローンの抵当権がついた不動産に相続が発生した場合、変更しなくてはいけない箇所は2ケ所あります。
一つは皆様ご存知の所有権の登記名義人の欄です。
もう一つ、抵当権の欄もチェックする必要があります。

殆どの住宅ローンでは、亡くなると団体信用保険がおりるので、抵当権は抹消になります。ところが、団信に入ってないケースもあり、その場合は債務が相続人に引き継がれることになります。
相続人は抵当権の負担付の不動産を相続することになる訳です。

債務者に相続が発生した場合に、債務は相続の対象にはならないという見解があります。というのも、誰が債務者になるかは債権者にとっても大きな問題だからです。相続人だけで勝手に決められないのは、債権者を保護する為です。
従ってもし、債権者が承諾するのであれば、それは問題ないとされています。

遺産分割協議の話し合いの効力は、相続発生時に遡及します。
お亡くなりになった後、暫くして話し合いをすることになると思いますが、その結果は、相続開始時から遡って発生するという意味です。ABC三人の相続人で債務はAが引き継ぐと決まったら、最初からAが相続したことになるという意味です。

亡くなってから、話し合いまでに間があいてしまう場合など、とりあえずABC三人で法定相続(民法で定められた割合)によって登記を入れることは可能です。

その後に登記を入れる場合は、抵当権の更正登記(前の登記が入った時点から遡って直す登記)を入れます。その原因は「年月日遺産分割」ですが、日付は被相続人が亡くなった日にちとなります。

法定相続での変更登記が入る前に、相続人ABCのうちAが債務を引き継ぐという遺産分割協議がととのっていれば、抵当権の債務者も直接相続を原因としてAへの「抵当権変更登記」が可能です。

また、事後的に一旦ABCで引き継いだ債務をAが引き継ぐことを決めた場合には、BCからAへ「債務引き受け」を原因とした抵当権変更登記が入ります。

相続によって所有権が変更になる場合、その相続を立証するための「戸籍」や「協議書」や「印鑑証明」など沢山の書類が必要となります。
同じ相続でも債務者の変更については報告形式の原因証明があれば、それ以外に上記書類などは必要ないとされています。
所有権の場合は財産の相続ですが、債務の引継ぎはマイナスの相続ですので、そこまで厳格にする必要がありません。

なんだかあっという間に節分が通り過ぎてしまいました。
節分にキンパ作ろうと思ったのですが、材料買いに行くところからハードルが高く、気づいたら終わってました。次はひなまつり。これこそ頑張りたい



コメントを残す