相続の登記をしようと思い、謄本をあげたら、買戻特約がついてました。
これは、所有権の移転と同時に、セットで登記するもので、所有権はA→Bに移転し、Bにあるけれど、Aは一方的に買戻し権を行使して、費用を払えば、買戻すことができる権利です。
これには行使できる期間が決まっています。
最長10年、これより長い期間を定めた場合は、10年まで短縮できます。
そして、行使期間を定めなかった場合は5年以内に買戻しをしなくてはいけないとされています。(民法580)
この期間は登記しなくてはいけません。
「原 因 年月日買戻特約
売買代金
契約費用
期 間 年月日から年月日
権利者 A 義務者B 」と登記簿に記載されます。
謄本は誰でも見れますから、この不動産が買戻しの危険にあるかどうかは一目瞭然な訳です。
ちなみに私の手元の謄本では「期間 平成3年3月29日から平成10年3月25日まで」とされています。
10年より短いですね。
当然、当時の売り主Aさんは、今となっては買い戻すことはできません。明らかに期間が経過しているからです。
この特約の抹消登記ですが、権利者はBさん、義務者はAさんの共同申請で行います。
買戻権を行使される危険があったBさんが、その危険から逃れた訳ですから、利益を得る(=権利者)はBさんです。
「登記の目的 〇番付記〇号買戻権抹消
原 因 年月日買戻期間満了
権利者 B 義務者 A 」
ここで問題です。登記では、登記原因証明情報として、その原因が発生したことを示す証拠となる書面を添付します。相続だったら戸籍などがそれにあたります。
先ほどの買戻し特約の抹消では、いちいち原因を証拠として説明するまでもなく、期間をみたら明らかなハズです。
それでも原因証明はつけるのか?
答えははい。です。
「AとBはどこどこの物件を買戻し特約付きで売買した。そして買戻特約の登記がされた。
年月日期間が満了した。よって、買戻権は消滅した。」
事実を淡々と、書面にしただけですが、それに間違いなければ当事者が捺印します。
明らかに分かるものに、原因証明を付ける必要性ですが、
その①登記は原則、原因証明をつけるものだから。
②もしかしたら、期間満了の前に、別の原因で消滅した可能性を否定できないから。」だそうです。
この特約は所有権を記載する権利部甲区にのりますが、実質は抵当権と同じようにその不動産を担保にとっている訳です。
手元の謄本では「売買代金 総代金 9,490万3,400円 支払済代金 金2,039万2,350円」となっています。つまり、全額支払った時に所有権が移転したのではなく、一部借金のような形でその不動産全体の所有権を取得している訳です。
そのため、買戻期間内に残金を支払わない場合は、移転を解除して売り主が取り戻すという契約なのです。
ちなみに、もし、Aがこの買戻しの権利を行使して、BからAに所有権が戻った場合は、特約は申請しなくても職権で抹消されます。(登記官が勝手にしてくれます。)行使してしまったら特約は残っていても意味ありませんから。
行使しなかった場合は、勝手に抹消はしてくれないので、当事者同士で抹消することになります。
抵当権もそうですけど、買戻し権を持っている人も、大体何十年か前に登記した法人ですから、統廃合などで、もうこの世にはない法人であることが多い。。。時々、少し面倒なことがあります。
ものすごく素敵なお店なのに、閉店してしまうのだそうです。。残念。デザートも素敵でしたが撮り忘れました。
「ままのことがだいすきだよ」「ままとってもすてきだとおもうんだ」と毎回打ってくれるむすめ。言葉が、すぐ消えてしまうから、もったいなくて大切に保存。
今日もありがとう。