遺言や遺産分割協議で「Aはだれだれの介護をすることを条件に財産を取得する」といった「負担付」「債務付」のケースがあります。
ところが、実際相続してみたらその負担が履行されない場合、どのようにしたらいいのでしょうか。
【まず遺言の場合】
①負担を行ってもらえるよう催告できる
②負担を履行しないことを理由に「遺言の取消し」の請求を家庭裁判所にすることができる。(民法1027条)
これは民法にはっきり書いてあります。
では、遺産分割協議はどうかというと、それをしなかったことを理由に協議を「解除」することはできないとされています。(最判平元・2・9民集43・2-1、判時1308・118)
一旦発生している権利関係を解除するのは影響が大きいと考えるためです。
例えば、遺産分割協議は「相続人全員が参加」する必要があります。
相続人の一人を無視して行った協議は無効です。
ところが、父親が遺言で認知した子供が、協議の後に現れた場合には、遺産分割協議のやり直しは認められず、その子には金銭の支払い請求権が認められることになります。
なるべく、やり直しとか解除はやりたくない訳です。
ただし、この場合であっても、再度別の内容の協議ができる方法があります。
【全員の合意による再協議】です。
「第1条 甲乙丙は、既に成立した丁の遺産についての令和〇年〇月〇日付遺産分割協議(以下、「従前協議」という)を合意により解除する。
第2条 改めて〇〇の財産は甲が相続する。。。などの協議内容!!!」
相続財産は、法定相続でなくても、「相続人全員が協議して決める」ことができれば、原則その通りに分けることができます。大事なのは「全員が納得して同意」すること。
したがって、たとえ、再協議などをして、その間の権利関係の清算がメンドクサイことになったとしても、みんな同意してそれを受け入れるのであればOKという訳です。
これがうまくいくのはご家族次第ですよね。だって、再協議をするということは、相続人の中で以前よりもらう財産が少なくなる人がいる。その逆もしかり。なワケです。
積極的に再協議したい立場の人と、そうでない立場の人がいる訳ですから、不利な内容の協議をわざわざ改めてやるというのは、よっぽど事後的な状況の変化と、ご自身の財産以外の周囲の方のことへの理解があってこそと思います。
勿論、相続人の中の一人がいくら再協議を望んでも、他の相続人がその時に意思能力が無くなってたということもあり得ますので、常に再協議ができるかどうかは、分かりません💦