先日、仮登記の抹消は、共同申請でなく、単独申請も認められているというお話をさせていただきました。
単独申請が認められるのは
①仮登記名義人
②利害関係人
です。ですが、①は権利を失う人、②は抹消して喜ぶ人です。
①と②では、添付書類が違います。
①義務者がつける登記識別情報(登記済証)、印鑑証明書(所有権の場合)
②仮登記名義人の承諾書(私文書の場合印鑑証明書、裁判があったことを証する書面)
です。
例えば、仮登記を設定した時に発行された登記識別情報が無かった場合、
①仮登記名義人からの単独申請であれば識別が無い場合にとるべき対策(事前通知など)が必要になります。
ただし、②から単独申請ができればもともと識別情報は必要ないのですから、その対策は必要ありません。
ですから識別がない場合は②利害関係人から申請ができれば、そちらの方が時間的には早く登記できると思います。
早くはできますが、②では結局、利害関係人以外に仮登記名義人から印鑑証明書付の承諾書を提出してもらう必要がある訳ですから、単独申請とはいっても2人の関与が必要な訳です。
①では、仮登記名義人が申請者で、事前通知が送られて返送するのも仮登記名義人な訳で、本当に1人の関与で完結します。
その分手間はかかりますね。
ちなみに②の利害関係人とは具体的にどのような人なのでしょう。
例をみてみます。
所有権の場合
1 所有権保存 甲
2 所有権移転 A
3 所有権移転仮登記 B
4 所有権移転 C
もし、Bの仮登記の本登記が入ったらCの権利は職権抹消されます。
ですから、Bの仮登記の抹消が入れば、Cは自分の権利が守られますので、利害関係人(登記上の利害関係人)です。
また、仮登記義務者は不動産登記法110条後段の登記上の利害関係人ではありません(もし共同申請したら登記権利者です!)。ですが、利害関係人が単独申請できるのであれば、仮登記義務者だって単独申請を認めるべきだ!という見解から、仮登記義務者(上の例でいうとAさん)も利害関係人に含まれるべきだと解されています。
例えば、抵当権の仮登記が入っていた場合、
①抵当権の仮登記名義人 に加えて
②抵当権の仮登記義務者(土地の所有者)も単独申請ができるということです。
そして、しつこいですが、②の場合は仮登記名義人が提出すべき識別情報は不要です。
仮登記名義人と仮登記義務者のその後の関係などで、①と②どちらの方が申請しやすいか、があると思います。書類の取りやすさ、連絡の取りやすさ、状況に合わせて、やり易い方を選択できます。
ものすごく気持ちのいいお天気でしたよね!