所有権の時効取得と権利抹消

他人の土地でも、所有の意思をもって平穏・公然に一定期間占有すると、その所有権を取得します。(占有開始時にお善意無過失であれば10年、悪意だと20年です。)
         
申請書は一般的な移転と原則同様です。
ですが、他人の土地を勝手に使って取得する登記ですので、義務者の協力が得られないことが多いです。その場合、判決による登記により取得した人が単独で登記が可能です。

登記の目的 所有権移転
原因    年月日時効取得 ※
権利者   取得した者
義務者   失う者

※時効取得は「原始取得」です。つまり、占有を開始した日に遡って所有権が移転します。時効が完成した日ではないので要注意です。

また、土地が農地であった場合、通常「農地法の許可書」がないと、移転できませんが、時効取得の場合は必要ありません。

さて、所有権の登記で、Bさんが自分の所有権に用益権や担保権をつけていたとします。Aさんが時効により所有権を取得することで、その用益権や担保権が設定される前の日付で、実はAさんのものだったという旨の登記を入れる事例です。

原則として、Bさんが設定した用益権や担保権は消滅します。
ですが、所有権移転登記が入った時に登記官が職権で抹消するのではなく、当事者同士が普通に申請して抹消することになります。
ただし、Bさんの土地に設定された抵当権の債務者がAさんだった場合は消滅しません。(民法397条)

この場合の抹消登記の原因は「年月日所有権の時効取得」です。





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