株式会社で、ごくごく普通の株式は1株あたり1議決権です。
ところが、例えば5株で初めて1議決権とするような決まりを単元株式といい、その数のことを単元株式数といいます。(会社法188条)
この単元株には決まりがあって、「1000株以下であり、かつ発行済株式総数の200分の1以下でなければならない」とされています。
会社法188条②で「前項の一定の数は、法務省令で定める数を超えることはできない」とあり、会社法施行規則に「法第188条第2項 に規定する法務省令で定める数は、千及び発行済株式の総数の二百分の一に当たる数とする。」という条文があるからです。
最近のお客様の謄本で、
「発行済株式総数 4万株、単元株式数 500株」という記載がありました。
上限越えてますね。おかしい?と思いました。
これには訳があって、会社法がもともと旧商法だった時代から先ほどの決まりがありましたが、平成18年5月1日の会社法の施行により、200分の1の基準が廃止されました。ところが、平成21年4月1日施行の法務省令により、このきまりが復活したのです。
単元株があまりにも多いと、単元に満たない株式が増え、つまり株はもっていても議決権が行使できない株主が増えます。それらの株主を保護するために復活しました。
ただし、消滅してから復活するまでの期間に200分の1を超える単元株式数を定めていた場合には、その定款の定めはなお効力を有する旨の経過措置が設けられています。
従って、現在の規則では認められない単元株式数が現に存在しうる事態が起こっているという訳です。
先ほどのお客様の謄本でも、単元株式数が定められたのは平成19年となっておりました。丁度200分の1の決まりが無かった時期ですね。そして法律が変わった現在も、その当時の単元株を改める必要はないため、このような謄本があった訳です。
ちなみに単元株式数を新たに設定する場合、今まで議決権を持っていた株主がそれを失うことになりますので、決議要件は少し厳しくなります。(株主総会の特別決議)
逆に今まであった単元株式数を廃止する場合は、今まで議決権無かった人が持てるようになるので、取締役会や取締役の決定という緩い決議で大丈夫です。
その決まりを設けることで、不利益を被る人がいる場合はより多くの賛成が必要になると考えていいと思います。
色んな会社の謄本をみるとすごく勉強になります。
なんかバタバタと、、気づけばこんな時間。皆様おやすみなさい