何度も登場する遺産分割協議というのは、亡くなった方の財産をどのように分けるか、相続人の間で話し合いをすることです。
亡くなった方の財産には、不動産、現金、株式などがありますが、「債権」も対象になります。また、債務も、債権者の承諾が得られれば、協議の対象となります。
債権者が変わるというのは、債務者にとって「誰に返せばいいか」に大きく影響します。
債務者が変わるのは、債権者にとって「誰に請求すればいいか」に大きく影響します。
債権債務は、相続人の間だけで決めるのではなく、それら取引の相手に伝える必要があります。
「債権の譲渡」「債務の引き受け」には要件があり、それがないと権利を主張できない、または効力を生じないとされていますので、民法ではどう規定されているかご紹介します。
【債権の譲渡】
民法467条① 債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ債務者その他の第三者に対抗することができない。
【債務の引受】
民法472条(免責的債務引受の場合)
②免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。
③免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。
債権の譲渡についていえば、「あげる人」が通知をしなくてはいけません。
遺産分割の場面で貸付債権があった場合、相続人ABCさんのうち、Aさんが債権を相続すると決めた場合は、もらわないBさんCさんが債務者に通知をする必要があります。
「B及びCは、Aと協力し、債務者〇〇に対し、上記債権をAに譲渡した旨を通知するものとする。
という内容を遺産分割協議書にいれることがあるのはその為です。
もらう人は自己の権利を守る為に積極的ですが、権利をあげる人、失う人はそうでない場合があるので、注意が必要です。
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