任意後見制度支援信託

皆様は任意後見制度をご存知ですか。
法定後見はご本人に意思能力がなくなってから周囲の方が申し立てるものなのに対し、任意後見は万が一の為にご本人が後見を誰に頼むか事前に決める制度です。後見制度が開始するのは、ご本人の意思能力が無くなった時。それまでは頼まれた人は「後見人」ではなく、「任意後見受任者」(この段階での権限はほとんどなく、後見人になることを予定されている者)となります。

任意後見契約において一番不安なのは、やはり後見が開始された時、後見人がきちんと財産を管理してくれるかどうかという点ではないでしょうか。というのも、その時にはご本人は意思能力がない状態ですので、チェックしようがなくなっているからです。

その不安を解消するための制度があります。
「任意後見制度支援信託」です。この制度は、あくまで後見開始後の財産の保護を目的としています。
手順は次の通りです。
【申し込み・後見開始前】

①お元気なうちに、「ご本人」が銀行と信託の申し込みをする。その際に「任意後見受任者」の同意(署名捺印)が必要。
②ご本人の自由な意思で財産の引き出しが可能

【後見開始後】後見は後見監督人が家庭裁判所から監督人が選任されてスタートします。

①後見の開始は後見人より銀行に通知する必要がある。
②ご本人に代わり後見人が引き出し請求
その際に必ず、後見監督人の同意(署名捺印)が必要。
→後見人単独の判断では引き出しができない。

【費用】信託金額は500万円以上1円単位
    追加信託は5000円以上1円単位
    信託報酬は設定時に5,5000円(税込)
    管理報酬はない
    運用報酬:運用した中から運用報酬が差し引かれるが元本は保証される。

以上このようになっております。
この制度、悪くないと思います。
費用の面でも、その他の銀行の信託の商品に比べれば、比較的取り組みやすい金額設定になっています。

任意後見の場合は、実際には認知症を経ずに、意識ははっきりしたままお亡くなりになり、後見制度が発動しないケースも沢山あります。
その場合でも、申し込み時の諸経費が5万5000円で「安心」が得られると考えれば、費用感としてもお手頃に利用できるのではないかと思います。

そして、ご本人の意思が反映される、お元気なうちはご自身の財産として自由に使い、引き出しも自由であるので、ご本人がどうしたいのか、最後までその意思がきちんと反映されるしくみなのではないかと思います。

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