予備的遺言

三人兄弟がいました。
長男(既に死亡)、長男の奥様(離婚)、子供3人
二男(お1人様)、ペットの猫
三男、三男の奥様、子供3人

三兄弟は仲が良かったのですが、長男夫婦が離婚された際に奥様は子供達を連れて家を出たので、他のご兄弟とは疎遠になりました。

二男はお1人様なので、あまりご自身の相続について考えたことも無かったそうですが、万が一自分に何かあっても兄弟が相続人だと思い込んでいた為、三男に全て相続の権利がいくのだろうと漠然と考えていました。

ところが、ひょんなきっかけで相続相談を受けたところ、万が一ご自分が亡くなった際は長男の子供達3人と三男が遺産分割協議をしなくてはならなくなると知り、かなり驚いたそうです。

「これはまずい。。。」慌てて三男に全て相続させる旨の遺言を作成しました。
兄弟には遺留分はありませんので、長男の子供は何も請求できません。これで二男の想いは叶うことになります。

こういうお話はよくあるお話で、相続について「思い込み」で安心していることが多いのです。フタを開けてみたら「違った!」「こんなハズじゃなかった!」相続税についても、同様です。

この方のように、対策の必要性をすぐに感じて慌てて出来ることに取り組む方もいらっしゃるでしょう。
もし、今すぐに、何かする必要が無かったとしても、相談した上で知識は持っておいていただけると、それだけでも充分お客様にとって良いことだと思うのです。

ちなみに先ほどの二男はペットの猫のことが心配で「猫の負担付」で三男への遺言を書きました。それでも心配で、三男が飼育できなかった時の為に引き取ってもらえる施設をご自身で探し、予備的に施設へ負担付遺贈することまで書き加えました。

特にペットを飼っていらっしゃる方は、ペットのことが心配で比較的若いうちから対策をされる方が多い。ですので、実際相続が発生するのと遺言作成時とで随分時間の経過があることもあります。

状況が変わった時にも対応できるよう「○○だった場合はこうする」というような条件付での遺言もございます。予備的遺言といいますが、無くなる順番が想定とは違った場合に多く使われます。

状況が変わるたびに、遺言を書き換えるという方法もございます。毎年年の初めに遺言を書き換える方もいらっしゃるそうです(公証人談)勿論その方がベストかもしれませんが、書き換えにはお金もかかりますので、想定される事態についてはあらかじめ予備的に記載しておくのもおススメです。


 

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