遺言執行者の職務と責任

相続人に代わり、相続手続きを行う遺言執行者は、遺言で指定されることが多いです。

遺言執行者はご家族の中で指定されることもありますが、その権限と責任はご家族のご負担になることも少なくありません。

【権限】遺言執行者には遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする必要があり(民法1012①)、遺言執行者が選任されていると、相続人は相続財産の処分や管理ができず、また、遺言執行者による遺言の執行を妨げる行為をすることはできません。

通知書の交付。他の相続人が、遺言執行者が指定されているのかいないのか知らないケースがあるので、まず通知書を相続人に交付しなくてはなりません。(民法1011①)相続人以外の受遺者、銀行、その他の金融機関、相続財産の管理者、遺言者の債権者・債務者その他わずかであっても遺言者との関係で権利義務を有すると思われる利害関係人に対しても通知するのが望ましいです。

財産目録の作成。もし相続人が希望した場合は相続人の立会の上で作成したり、公証人に作成してもらう必要があります。

受遺者への意思確認。受遺者はいつでも遺贈の放棄をすることができる(986条)とされているので、期間を定めてその意思を確認することができます。

相続人に対する遺言執行事務の処理状況の報告書

遺言執行事務として、
・不動産 ・預貯金 ・有価証券 ・動産 ・自動車 ・債権 ・貸金庫
などの財産の調査、そして実際に相続手続きを行う手続きを行います。

当たり前ですが、財産の名義を権利の無い方に変える訳にはいきませんので、その度に戸籍や遺言書の確認を求められたり、本人の真正度を確認されたり、しますので、それ自体もご負担は大きいと思います。

更に遺言執行者に課された責任というのは、民法の委任に関する責任(644~)が準用されます。(民1012)つまり、ご家族であっても委託された事務処理に当たるとされ、善管注意義務が課されます。簡単に言ってしまえば、業務としてお受けするのと同じだけの管理義務、報告義務が課され、それを怠れば債務不履行、損害が発生したらその損害賠償なども求められます。

ご家族の財産の処分に対してこの責任は大変重いです。やるからにはきちんとやる必要がありますので、それなりの覚悟が必要です。

血縁関係の無い者に財産関係を頼むということに抵抗を感じることもあるかもしれません。ですが、私達専門職に頼めば、業としてやる以上、責任を持ってお受けします。遺言書を作成される際に、専門家にアドバイスを受け、心から信頼できる方を捜しておけば、遺言執行も安心して任せることができます。日頃から頼れる専門家を持つということが大事です!

私が生まれる前から母の友人だった作家さんの作品です。小さい頃は実の母親より懐いていて、一緒に作品作ったり美術館連れて行ってもらったりしてました。

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