具体的相続分による遺産分割の時的限界

相続登記の義務化のお話は、ご存じの方も多いと思います。

「義務化」とか「過料」とか、そこの部分が大きく取り上げられて報じられているのですが、同時にかなり沢山の改正があり、義務化はその一部であります。

私の手元にある民事局の資料は、大量で、普通のホチキスでは留まりません。
「義務化だから罰金!!以上」という一言で完了するものでもありません💦

個人的に大きいと思うのが「具体的相続分」についての改正です。

現行、相続では「血がつながっている」という事実があれば、関係性を問わず、最低限主張できる権利が保証されています。
唯一個別の事情に配慮する規定が「寄与分」であり、「特別受益」であります。

簡単にいうと、生前他の相続人よりも特別に財産を優遇してもらったり、逆に他の相続人よりも親の為に特別に協力をしたと認められる場合、その分も相続の際考慮に入れましょうという規定です。

昨年より取り組んでいる相続の案件で、出生から一度も家族にも会わず、失踪したままだった相続人が弁護士先生を依頼し、法定相続分を主張しているものがあります。財産は不動産なので、金銭で支払える額はそんなに無いにもかかわらず、1円も自己の権利を譲る姿勢ではありません。

確かに相続人であることに変わりはありませんが、さすがに一生懸命親のこと、家族のことに取り組んンでおられる相続人と同じ扱いになるのは、少しお気の毒な気持ちになります。(私が意見する立場ではありませんが)

そんな中で、「寄与分」や「特別受益」は、一律「平等」の相続ではなく、個別の事情が考慮される余地を残した制度です。この分け方を話し合いで主張できるのに、新民法では期限が設けられます。
その期限は相続発生から10年です。

今でも、あまりに昔の事情を主張することは難しいとは思いますが、その期限が明確に設けられたという点が大きいと思います。

もし、あなたが、自分が特別に親とのかかわりが強く、財産の保全に協力した、もしくは自分以外の兄弟が、親から特別に財産をもらっていたことを主張したい場合は、10年以内でないとできないことを覚えておいてください。

一つ付け加えておくと、これは、あなたが他の相続人に対して主張できる期限のことです。
10年経過後でも、相続人皆が、個別事情を認めて考慮にいれた内容の話合いをすること自体は、いつでもOKです。

あくまで、話し合いは、相続人皆が納得していれば、自由に決められること。法定相続にしなくてはいけない訳ではないこと。これが相続の基本です!良く誤解を受けますので、それをお伝えしておきます!!

バレエって、ものすごく美しいですけど、それだけじゃなくて、強いんです。
眺めていたら、自然と涙が溢れます。誰にでも、痛みのようなもの、あると思います。
静かにそれと向き合うきっかけの一つは、こういう空間かもしれません。

先日までご夫婦でご来所されていたご主人様が、突然お亡くなりになりました。とても亡くなるなど想像できないお若い方です。奥様の落ち込みが、あまりに大きいご様子でしたが、何もできませんでした。何もできませんが、痛みを想うことはできる気がしました。



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