地味に難しい重任の話

良く、法人の役員の任期は〇年と、長さだけを意識することが多いですが、よくよく規定を見ると、
「〇年以内に開催される株主総会終了の時」なのか、「就任から〇年」(確定任期)なのか、微妙に違うのです。

後者は、その日までに総会開催しなかったとしても、任期が切れてしまいます。

株式では前者が一般的と思います。ところが、特定非営利活動法人などの法人では、確定任期の規定があります。

役員の任期を、総会終了時とすると、とってもやり易いんです。
その総会の終了をもって任期が切れる。だから、その総会の中で次の役員を決め、大体その場で就任を承諾すれば、退任と同時に就任できます。
同じ役員が「退任」と「就任」をすることを「重任」といいます。この「退任」と「就任」に間が空かないことが原則です。

ところが、確定任期の場合、役員の任期が切れると同時に就任されるには、事前にあらかじめ役員の選任決議をしておく必要があります。
令和1年9月1日 理事重任
令和3年9月1日 理事重任←これをしたい。理事の任期2年。

理事の任期は9月1日から8月31日です。総会を開催しようがしまいが、8月31日24:00で任期は切れます。
9月1日の10時から選任決議をしたとすると、8月31日24:00~9月1日10:00まで、間が空いてしまいます。間が空かないようにするには、8月31日かそれ以前に、任期がきれた後の役員を選任しておくことになります。あらかじめ、選任しておくことを予選と言います。
こうしないと、「退任」と「就任」の間が空いてしまいます。つまり、「重任」はできません。
8月30日 予選
8月31日24:00任期満了退任
9月1日0時 新役員就任

ちなみに、理事長の選任については、予選ができる場合とできない場合があります。
・【〇】理事が過不足なく全員重任でメンバーが変わらない場合。
    →理事の互選や理事会で、理事長も予選できます。
・【✖】後任の理事のメンバーが前任者と一部違っている。
    →後任者が就任した後で、新しい理事が決議に加わって選任する必要がある。
この場合、どうしても理事の互選や理事会が9月1日以降になってしまいます。

法律では、9月1日に決議をした場合のみ、「重任」と登記できるとされています。
実際には8月31日から9月1日決議の時間まで、間が空いています。
以前は同時でないので、「退任」と「就任」を別に入れることとされていました。
これが、理事就任初日に限り「重任」を認めると緩和されました。

さすがに、9月2日や9月3日に決議をした場合には、「退任」「就任」をする必要があります。

こう考えると、確定任期は面倒です。(笑)

その為、定款に総会終了時までとする規定を入れることもできます。





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