地役権の登記

土地が他の土地のために、その利用の便宜をはかる権利のことを地役権といいます。
簡単にいうと「通行する権利」「水をひく権利」「景観のために高い建物を制限する権利」などです。

当事者同士で設定契約をし、これを登記します。
この時、当事者の名前などは登記簿にはのらないのですね。
なぜなら、これは土地を利用する上での権利関係であり、土地から切り離してその権利だけを譲渡したりすることはあり得ないからです。したがって、相手の土地を特定しておけば充分ということです。

要役地:恩恵をを受ける土地
承役地:便宜を提供する方の土地

先ほどの登記は承役地の謄本になります。ちなみに要役地の登記はこんな感じです。

もし要役地の所有者がAさん→Bさんに移ったら、その要役権を有するのは原則Bさんになります。
(民法281条)つまり「要役地を使う人のための権利」なんです。
ところが特約で「地役権は要役地とともに移転しない」旨を定めることもできます。その場合はA→Bへ移転したら消滅します。

「登記申請書
登記の目的 地役権設定
原因 年月日設定
目的 通行
範囲 全部/東側12平方メートル※
権利者 
義務者
添付書類 識別情報(承役地の取得時の)、原因証明、委任状(承役地所有者の実印)、印鑑証明(承役地所有者) ※図面(範囲が全部でない場合は、図面で対象の部分を特定する必要があります
登録免許税 1500円×承役地の数
~省略~
不動産の表示
承役地 所在地番地目地積
要役地 所在地番地目地積   」

この地役権は、例えば要役地承役地が共有であったとしても、持ち分の上のみに地役権を設定したり、共有者の一人のために地役権を取得したりすることは許されません。(共有者全員で設定することは可能)
また、実務的な話ですが、要役地が共有であった場合に、その中の一人が登記の申請人となって、他の人の分まで登記を入れてあげることは可能です。(保存行為)

地役権設定する際は、その内容によって、承役地の利用が制限されますから、対価を払う内容のことが多いです。(対価は登記にはのりません)当事者はご自身が契約するので、ご納得していると思います。
ところが、その土地の権利を引き継いだ人、事前に購入する土地の謄本を確認してくださいね。この地役権の登記が入っていた場合は、特約がなければその内容を引きつぐことになります。




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