所有権移転時期に関する特約

不動産売買の取引では、売主、買主、仲介さんが一同に集まって書類に捺印しますが、一般的には集まる機会が2回あります。

「契約」と「決済」。大体、これらは1ケ月位間が空くことが多いです。
契約では売買契約書、需要事項説明書の説明、契約書への署名捺印、そして買主は売主に手付を払います。
手付というのは、万が一今後買主さんが契約を解除した場合、その手付を放棄することになる金額です。大体売買価格の1割位です。これも決まりはありませんので、買う意欲?を見せる為にもっと多く支払う方もいらっしゃいます。つまり、お金を払って約束することになりますので、お互い買う意思はあるということを確認する場です。
逆に売主さん側が自己都合で契約をやめる場合は手付の倍返しになります。これで、手付と同額を支払うことになり、お互いに辞める時は手付の額を支払うことになります。

さて「決済」こちらが私達も同席させていただくものです。簡単に言ってしまうと、「残代金の支払い」と「物権=鍵」の引き渡し。です。

では、売主から買主へ所有権が移るのはいつでしょう?
民法では、物権変動は意思表示のみによって生じるとされています。(民法176条)民法に忠実に考えると、原則は売買契約成立時に直ちに所有権が移転します。
しかし、民法に優先するのが特別法。特約です。ほとんどの不動産売買契約では同じ特約がついています。それが「所有権移転時期に関する特約」です。

どういう特約かというと、「所有権は売買契約時ではなく、売買代金全額支払いのときに移転(物件変動)する。」という特約です。

したがって、決済の日が所有権の移転日になります。

ここからは、不動産決済に関する余談です。
たまに、忙しい当事者の場合など2回も有給とれない方は、「契約」と「決済」を同時に行う場合もあります。
これを一括決済といいます。お手軽ではありますが、不動産の売買は大きな買い物ですので、順を追って手続きする方が安全ではあります。

売主さんの中には、既に引っ越しをしていて、引っ越し先の遠方から決済の為に移動される方もいらっしゃるのです。それを2回もするのは大変ですよね。もし、その不動産が共有だったら、共有者全員がこの契約、決済に原則出席する必要があります。不動産の共有はあまりおススメできません。と言われる理由の一つです。

また、融資の審査などに時間がかかることもありますよね。
もし、融資の審査が通らなかったら、買いたくても買えない。
ただ、それが叶うか未定などの時には「住宅ローンの特約」がつけられることもあります。これは住宅ローンを理由とする解除については、違約金の負担はない旨の特約です。これがないと、怖くて契約できませんね。

以上、不動産の売買についての解説でした。本当はこの続きのお話を書こうと思ったのですが、その前提のお話をしているうちに終わってしまいました。
また書きます!




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