時期をずらした遺言の落とし穴

最近、遺言を書きたいというお客様のお話を伺ったところ、一体何通目なんだろうかという位に過去に沢山書いたことがあるというお客様でした。

勿論、いくら書いても、それ自体にきまりはありません。
ですが、皆様ご存知の通り、後に書いた遺言が優先されます。
ただし、これは条件付きであることに注意が必要です。

民法1023条(前の遺言と後の遺言との抵触等)
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

遺言の内容によって、抵触する(両立できない)部分のみ後の遺言が優先されることになります。

先ほどのお客様は、実はこれから財産を売却予定であり、財産が変わる可能性がかなり高いです。それにもかかわらず、遺言作成を急ぐ背景には、今回の遺言の内容よりも、以前書いたものを打ち消したいという想いがある為でした。

ですが、後に書いた遺言の存在だけで、その前の遺言が全て否定されることになるとは限らないということに注意が必要です。

「遺言の内容を書き足す」
「部分的に変更する」などの目的で後に遺言を書くこともあります。

もし上記目的で後に書く場合に注意が必要なのは、「その他一切の財産」「これ以外の財産が見つかった場合は」などど記載し、漏れが無い様に書くクセです。
とても便利な表現であることに間違いはないですが、もし、書き足しや部分的変更目的で書いたはずの遺言に、ついうっかり「その他一切の」と書いてしまうと、その瞬間前の遺言を打ち消します。

複雑な遺言になると、対象の財産だけでなく、その他の条文でも整合性がとれなくなるような内容も出てくる可能性があります。
このような場合は、「以前書いた遺言は全て撤回して、改めてこの遺言を作成する」と記載すると、スッキリおさまります。

一度全部白紙撤回して、まっさらになって新しく作成すれば、一番「今」の想いが伝わると思います。間違っても、色々考えた末に意図することと違う内容になることは避けたいので、次期をずらした遺言には注意してくださいね!
もし、以前遺言書いたことある方は、それらもご依頼の際にお話しください。

最近、色んな学びの場に参加できることが楽しいです。zoomってすごい。今年はzoomがかなり大活躍でした。

コメントを残す