株主総会の決議要件について

株式会社において、株主総会の決議には「普通決議(会社法309条①)」「特別な普通決議(206の2⑤)」「特別決議(309条②)」があります。
それとは別に「特殊決議(309条③)」更に「特別な特殊決議」もあります。

どんな要件なのでしょう。最初の3つは、「最低出席数(定足数)」と「最低賛成数」があります。
まず、定足数をクリアする必要があり、その上で賛成には後者の要件が必要となります。実際の要件はこんな感じです。出席数→賛成数の順に

普通決議 議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(定款で別段の定めが可能)が出席/出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)

特別な普通決議 議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合は、その割合)が出席/出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)

特別決議 議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合は、その割合)が出席/出席した当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)なお、一定数以上の株主の賛成を要する旨等の要件を定款で定めることも可能

どの決議要件を使うかは法定されています。
定款変更の際は特別決議、取締役選任は特別な普通決議など。一般的には普通決議より特別決議の方が重要な議題を決める際の要件となっており、そのため特別要件の方が加重されています。が、上記の要件の()の中にあるように、定款に別の割合を定めた場合、逆に普通決議の方が厳しい要件になることもあります。

これはバランスを欠くのではないですか。というご指摘を受けました。
ただし、上記の要件で最低の割合を守った上でその会社独自の割合を定めることは、法律で許容されており、それは決議ごとに定められることなので、あっても違法ではありません。
一般的には緩い要件で決めていいことを厳しく、少し厳しめの条件で決めた方がいいのではないかという案件を逆に緩く定めることがあえてできるということです。そこはその会社独自の判断によります。

ちなみに、特殊決議は少し毛色が違います。定足数なし。
①議決権を行使することができる株主(頭数)の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合以上)かつ②総株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)が賛成した場合!となります。

一瞬わかりずらいですが、良く見ると、はじめの3つは、参加しなければならない要件と、その上で賛成の要件の2段階になってます。
そして、特殊決議には、それが無い代わりに賛成要件が2つあって、その一つが頭数要件です。

もし、株主のうち、1人が大株主で、発行する株式のうちほとんど全部に近い割合をもっていたら、その人が株主総会に出席して賛成したら可決されます。

ところが、大株主以外に、少しだけ株を持つ人が沢山いたら、大株主だろうが少しの株主だろうが頭の数は一緒。その頭数の半数以上が賛成しなくてはならないとなっているのです。株の数は違っても対等にカウントされるので、大株主1人の判断が通るのが難しくなりますね。そんな決議要件です。

会社法では、実は、こんなに細かく規定があるのだということと、絶対守らなければいけない割合と、会社独自の判断で自由に定款に規定できる要件があるということ、そして、公証人のご指摘についてのご紹介でした。

ちなみに要件には、さりげなく「過半数」という表現と「半数以上」という表現があって細かいです。

そして頭数要件か、議決権ベースでの決議要件かの違い。これは大株主がいる場合は、大違いです。ということをお伝えしました!   以上です!

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