生命保険金受取人の指定、変更を遺言でする

いきなりですが、次の遺言書案文をご覧ください。

「              遺言書
 遺言者甲野太郎は、平成〇〇年〇〇月〇〇日に締結した〇〇生命保険株式会社との間の生命保険契約(保険記号〇〇、被保険者遺言者、保険金額1憶円也)の生命保険金の受取人を、妻である甲野花子と指定する。
 遺言者の上記の意思表示を〇〇生命保険株式会社に通知するために、本遺言の遺言執行者として下記の者を指定する。
 
 住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
 職業 会社役員
  乙野乙男
   昭和〇〇年〇〇月〇〇日生
 平成〇〇年〇〇月〇〇日 遺言者 甲野太郎 印            」

生命保険の受取人は、保険事故が起こるまでは、保険会社への意思表示によって、契約者がいつでも変更できます。(保険法43条)

一方的に意思表示をするという単独行為によって、効力が発生する訳です。

 民法では遺言によって効力が生じる事項を定めています。(法定遺言事項という)保険金受取人の変更はここに含まれていないので、できるのか判断が分かれるところとされていました。

 ところが、平成22年に施行された保険法は「保険金の受取人の変更は、遺言によってもすることができる」という明確な定めを置きました。(保険法44①)

 通常の変更の通知については「通知が保険者に到達したときは、当該通知を発した時にさかのぼって効力を生ずる」(保険法43条③)とされています。

 遺言の場合は、遺言者の死亡時に意思表示がされ、同時に効力が生じることになります。ただし、効力の発生後に、保険会社への遺言者の相続人による通知をしないと、受取人の変更を他に主張することはできません。(保険法44②)
そうしないと、保険会社は誰に保険金を支払えばいいのか分かりませんので、二重払いなどの問題が発生することがあります。

 保険者への通知をするのは、相続人の内1名からで構いません。
この場合、確実に通知がいくように、遺言執行者を指定しておくことをおススメします。

 入った時の受取人でも、その後その方に何が起こるとも限りません。
受取人が認知症になることもございます。せっかく、「名前をつけて」「その人に確実に届く」保険金なのですから、きちんと想いが届くよう、定期的に見直してみてください。保険は入ったら安心とは言えないです!


 

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