識別情報を使わない正当事由

亡くなった祖父の土地はとても広い土地でした。子供のころ、公園行かなくても庭でずっと夢中になって遊んでた。亡くなった時に家を壊し、更地にしてみたら、なおさら広くてびっくりしました。
これでは、一般的な家族の住む家を建てるには広すぎる。そのままでは全然売却ができないので、いくつかに分けて売却しました。

これを分筆といいます。大きな土地を分譲して家を建て、○号棟として売却する会社も良くあります。

さて、ここで問題になるのは、登記識別情報です。分筆の登記が入っても、新しく識別情報は発行されません。1筆の土地を10筆に分けた場合、最初に1筆の土地を買った際に発行された識別が10筆全ての識別となります。

つまり10筆の土地の中の1筆の取引をするために、もとの土地の識別を開示した場合、自動的に他の9筆の識別も開示されてしまうということです。
登記をする司法書士は一度開示した後、すぐに上からシールを貼り責任を持って漏洩しないようにしているとは思いますが、今回の例ではこれを10回繰り返すことになります。

取り扱いには注意を要する識別情報ですが、他の不動産と共通で同じ情報を利用する場合などは、とても扱いずらくなります。

このことを受けて、平成20年に識別の扱いについて変更がありました。
変更前は、識別を使わなくてもいい場合というのは、

・不通知(最初から買主の希望により発行していない)
・失効(盗まれた等の理由で識別情報を失効させる手続きをした)
・失念(無くした)

の場合だけでしたが、
・管理上の支障(識別情報を提供することにより識別情報を適切に管理する上で支障が生じる場合)
・円滑な取引阻(不動産取引が円滑に行うことができない恐れがある場合)

が追加されたのです。分筆に伴う問題も少し対策がたてられたことになりました。

ちなみに、もとの1筆の土地(4番1)が4番1~4番5までに分筆された場合、もとの土地の登記簿の表題部には「4番1ないし4番5に分筆」と書かれます。

これは、4番1、4番2、4番3、4番4、4番5の5筆に分かれたという意味で、4番1と4番5に分かれた訳ではありません。

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