農地売買の仮登記

農地の売買は少し特殊です。

宅地と違い、農地法の許可証が必要だからです。
許可証の条件が成就しないと、移転の効果は発生しません。(法定条件)

この農地法の許可証がまだ出ないうちに「仮登記」を入れることは可能でしょうか??
その名の通り、仮の登記ですが、登記簿に記載されるので、権利を公示することが可能です。

*農地の売買予約による所有権移転請求権保全の仮登記(昭和32・4・22民事甲793)

「登記の目的 所有権移転請求権仮登記
 原因    年月日売買予約
 添付書類  登記原因照明情報 印鑑証明書 代理権限証明情報  」

農地法の許可後に本契約を締結する旨の合意の段階で登記を入れる場合。
予約が成立したのみで、所有権移転の請求権のみが発生しています。

*農地法の許可を停止条件(条件成就の時までは停止している)とする売買の所有権移転仮登記
(昭和37・1・6民事甲3289)

こちらは条件つきではありますが、売買契約をした場合です。

「登記の原因 条件付所有権移転仮登記
 原因    年月日売買(条件 農地法〇条の許可)  」

この登記は、民法129条が根拠となっています。
民法129条(条件成否未定の間における権利の処分等)
条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。

本日の例は2件とも農地法の許可を必要とする場合の許可の成否にかかわる登記になりますが、条件付きで契約をしたのか、予約契約をしたのか、実体に応じて登記をすることになります。

通常の農地移転の登記では、農地法の許可証を添付書類として添付する必要がありますが、仮登記の場合には不要です。

許可さえあれば有効に効果が発生するものであるので、このような登記が認められます。

ちなみに次のような登記は認められません。
何となくニュアンスが伝わるでしょうか。。

*離婚前における財産分与の予約を原因とする所有権移転請求権の仮登記(昭和57・1・16民三251)
 財産分与請求権は、離婚を前提としている!(民法768①)

*認知の裁判確定前における、相続による所有権取得請求権保全の仮登記(昭和32・3・27民事甲596)

*信託を原因とする所有権移転請求権仮登記及び信託の仮登記
 信託と言えるためには、実体上所有権が移転している必要がある。

皆さんのお願い事は、何ですか?

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