遺産分割について、基本的には今すぐにできない事情があったとします。
例えば、相続人の中に高齢者がいる、逆に子供がいるなどの場合、時期をまってからにすることも考えられます。
ところが差し迫った支払いが目の前にあり、現金については先に協議したい時、財産の一部についてのみ協議をすることもできます。
原則は、一度にやった方が手間もかかりませんし、話し合いもスムーズにいくと思います。
それができない事情があった場合は、段階的に協議をすること。それ自体は法律で制限されておらず、実際行われています。ただし、一部分割をすることにより、総合的に大きな支障をきたす場合はすべきではないでしょう。
協議書の例です。
①
「第〇条 相続人全員は、以下の土地が、被相続人の遺産であることを確認する。
2 相続人Aは、前項の遺産を取得する。
3 相続人全員は、その余の遺産については、前項による分割とは別個独立にその相続分に従って分割することとし、前項の遺産の一部分割がその余の遺産分割協議に影響を及ぼさないことを確認する。 」
②
「第〇条 相続人全員は、別紙遺産目録記載の財産が、被相続人Aの遺産であることを確認する。
2 相続人全員は、別紙遺産目録記載の財産のうち同目録記載〇ないし〇の財産につき、年月日に既に遺産分割協議が成立していることを確認する。
3 相続人全員は、別紙遺産目録記載〇ないし*〇の財産につき、次のとおり分割する。
(1)相続人Bは、別紙遺産目録記載〇の財産を取得する。
(2)相続人Cは、別紙遺産目録記載〇の財産を取得する。 」
*「ないし」は「乃至」と書き、「〇〇から〇〇まで」という意味です。
*一部分割の結果が残部分割の結果にどのように影響するか、つまり別個独立させるのか、一部分割の結果を残部分割に考慮するのか明確にする必要があります。
*最初の協議で財産を多くもらい、残りの財産について相続分を有さない相続人であっても、原則残部分割協議にも参加する必要があります。(遺産分割協議は相続人全員で行う必要がある)
例外として、一部分割の際に残部については何ら分配を求めない旨を明確に規定している場合は関与が不要となる可能性があります。
*相続税の申告までに未分割遺産が存する場合は、未分割遺産については法定相続分に従って、相続税を申告することになります。(後に修正申告)
去年の母の日に、母の日ギフトのお花を庭に植えて、その後存在を忘れていたダリアが勝手に咲いて、そういえば植えたなぁと思い出しました。