遺言(行方不明者がいるケース)

今日はある遺言をご紹介します。
「遺言者の二男○〇が生きていて、所在が判明したごきは、長男〇〇は現金〇〇〇万円を、長女〇〇は現金〇〇〇万円を、二男〇〇に対し、相続分として引き渡すものとする。」

これは何かというと、相続人の中に行方が分からない二男がいる場合です。これは特に、必ず遺言を書くべきケースです。

もし、遺言がなく、遺産分割協議をすることになった場合は以下のようになります。
まず、遺産分割協議は、行方不明の方がいた場合であっても、相続人の誰か1人を除いて行うことはできません。音信不通でどこにいるか分からない事情があっても同じです。
そういう場合には2通り考えられます。

①行方不明者の財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる。
②生死不明の期間が7年間(地震などの特別の危難があった時は、危難が去った時から1年間)経過した場合、死亡したとみなされる失踪宣告(民法30条)を家庭裁判所に申し立てる。

両方、家庭裁判所への手続きのため、面倒なのと期間がかかります。
そして②の場合、万が一失踪者が生きていることが判明したら、失踪宣告が取り消され、それまでに行われた遺産分割協議は無かったこととされてしまう恐れがあります。(民法32条)

そんな時の為に、遺言が有効なのです。
行方不明者の所在が分かった場合を条件として、相続させた財産の一部を行方不明であった相続人に対し渡す義務を遺言書で相続人に負担させる方法です。

大きな事故に巻き込まれるようなことも無いとは限りませんが、意見が合わないことが原因で家を出たまま仲たがいし、連絡先も分からなくなってしまったご家族もいらっしゃいます。それでも、やはり子供には財産を残してあげたい、元気で生きていて欲しいと想う親心の遺言なのです。


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