相続財産とは、亡くなった後に財産をどのように分けるのか、相続人が話し合いをする際に対象となる財産のことです。これは、原則、その方が亡くなった時点での、その方名義の財産ということになります。
では、葬儀費用はどうなるの?というご質問をよく受けます。
これは、見解が一つに確率していないところです。
・相続債務と同視して、相続財産の負担とする。
・喪主の個人的債務とする。
おおきくこの2つがありますが、先ほどの原則からいくと後者の見解になり、多くの裁判例があります。
この債務は、相続発生後に生じた費用であることが理由です。
そうなると、お葬式の費用は、遺産分割協議の対象とはなりません。
この場合、喪主には一方的に大きな負担がかかります。
従って、遺言や遺産分割協議書に、この葬儀費用をどうするか指定したものも有効とされています。
「第〇条
別紙相続財産目録記載の現金〇〇万円のうち被相続人(令和〇〇年〇〇月〇〇日死亡)の葬儀に要した費用〇〇万円を控除した残金〇〇万円のうち、〇〇万円を相続人Aが取得し、〇〇万円をBが取得する」
ちなみに、税務上の手続きにおける相続財産の取り扱いは、遺産分割協議の場合とは少し違います。
葬儀に係る費用は、債務として亡くなった時の財産から差し引きますが、控除できるものと控除できないものがあります。
*葬儀費用になるもの
・葬式(仮葬式、本葬式)に要した費用
・火葬、納骨、遺骨の回送などに要した費用
・そのほか通常葬儀に伴う費用
・死体の捜索または遺骨の運搬に要した費用
*葬儀費用にならないもの
・香典返しの費用
・墓地、墓碑の購入費用または墓地の借入料(そもそも、お墓や仏壇には相続税がかかりません)
・初七日その他法事に要した費用
・死体解剖に要した費用
こちらは明確に規定されています。
遺産分割協議では、「相続人全員が同意しているのであれば、それでOK」という、比較的自由度が高い取り扱いです。