不動産登記における第三者の承諾を証する情報

個人事業主と法人では、その法人がたとえ一人会社で実質自分1人で経営が可能だったとしても、性質が違います。
個人事業主は、その名の通り、一個人が主体となって仕事をする。ところが法人になったら、法人が一つの法人格を持ちますので、個人としてのAさんと、Aさんの会社は別の人格を持ちます。
法人は法人で、契約行為の主体となることが可能になります。

経理の面でも、個人事業主は事業で得た収入=自分の収入ですが、法人の場合は、法人の代取であるAさんが、法人から役員報酬を得る形で収入を得ます。そして、法人の意思決定は、株主や役員の総会で決まります。

税金も個人と法人で課税の仕方が変わってきます。
したがって同じ財産を所有するのにも、個人で持つか法人で持つかでお金が変わってくる訳です。

さて、そんな中個人と法人で不動産を売買したり、債務引き受けをしたりすることがあります。意思決定はAさんのみだと、Aさんは「取引をする」という意識はなく、「名義を変える」という感覚ですが、これは別の人同士の取引になります。

こんな場合、形式上であったとしても法人社内では「株主総会」や「取締役会」で意思決定をすることになります。
実質Aさんのみが直接取引をする場合などは、売買代金や取引の条件を自分に有利なように進めることができてしまうため、登記ではこの議事録(第三者の承諾を証する情報)を添付する必要があります。(利益相反取引)

個人のAさんと会社役員としてのAさん。なんだか一人二役の劇みたいですね。

この行為を法人内で承認するのは、その株式会社が取締役会設置会社であれば「取締役会」。非設置であれば「株主総会」となります。

【議事録の記名押印について】
議事録には基本的にはその会社の役員が署名押印することが多いです。

株主総会:通常議事録作成取締役(代表取締役のことが多い)の記名押印(法人の代表印)。定款に条文があれば、出席取締役の記名押印。この場合、取締役に関しては認印でも可。
取締役会:出席取締役、監査役の記名押印をする。代取は法人代表印。その他の役員は通常認めでも可ですが、利益相反行為の承認決議では実印を押印し、印鑑証明を添付する。(不動産登記令19条)

実印と印鑑証明を求められるのは、株主総会であれば、法人代表印、取締役会であれば出席役員ということになります。通常の議事録であれば、取締役会のその他取締役は実印まで求められません。議題によって実印の場合があります。今回は不動産取引の許可や承諾を証明するための書類なので、実印+印鑑証明が求められるのです。

法人の代表印もそれが代表印であることを証明するために法人の印鑑証明書をつける必要がありましたが、昨年より会社法人等番号を記載すれば、添付省略できるようになりました。(不動産登記の義務者の印鑑証明、許可承諾を証明するための書面に添付する印鑑証明)(不動産登記令9、不動産登記規則36)

ちなみに株主総会議事録で押印するのは「議事録作成取締役」のみで問題ないのですが、定款に「議事録作成取締役、議長、出席取締役が記名押印し、、、」という条文があれば、それに従います。
ここは定款を参考にしてください!

決議機関が取締役だと、全員の印鑑証明などが必要になるため、事前に確認できればスムーズです。
取締役会、監査役会などが設置されている会社は謄本に記載されます。議事録にだれが記名押印するかは、定款に定めがあります。
確認するポイントになります!

新潟県民は、あたたかな日に対するありがたさを身に染みて感じます。横浜は、とても暖かくてポカポカしてますが、新潟は強風でひょうが混じってました。




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