「ゼロ分割」と「相続放棄」

皆様は「ゼロ分割」という言葉をご存知ですか。
遺産分割は相続人全員で話し合いによって決めますよね。
その中で、自分の分け前がゼロである分割協議をすることです。

この「ゼロ分割」を「放棄」と思っている方。すごく多いです。これらは似て非なるものなのです。

1人娘がお母さんの為に、お父さんの財産をいらないと思ったとします。
お母さんと娘さんの遺産分割協議の中で、財産は母が取得するという内容にすれば良かった訳です。

ところが娘さんは気を使ったつもりで「放棄」をしてしまいました。
すると、何が起こるでしょうか。

お子さんは第一順位。第二順位のお父様の両親は、順番でいくと亡くなっていることが多いです。

すると次。第三順位のお父様の兄弟が相続人となります。

つまり、お母様とお父様のご兄弟が遺産分割をすることになります。

先の順位の相続人がいる場合は、次の順位にはいかないので、順位の段階が違う者同士が両方相続人になることはありませんが、先順位の相続人が誰も居なくなった場合は、次の順番になります。

配偶者はどの順位でも常に相続人ですね。ですから、お母様は誰と一緒に共同相続人として分割の話し合いをするかが変わってきます。

私の例で恐縮ですが、親子でしたら、家族で身近な存在だと思いますが、父の兄弟は幼少の時に会ったそうですが、記憶にも全くないくらい、疎遠でございます。遠く九州にいます。いとこも、ほとんど会ったことがありません。身近な友人の方がよっぽど近い関係です。

配偶者の兄弟って、そんなもの。今回の事例で、娘さんの「放棄」により、お母さんはより困る事態になってしまったことは間違いありません。

「放棄」すること自体は誰でも簡単にできますが、一たび放棄をすると初めから相続人ではなくなることになります。
その財産について「もらわない」という選択をする「ゼロ分割」とは大いに意味合いが違ってきますので、くれぐれも手続きの前に誰かに相談されることを強くおススメ致します。

さて明日は、司法書士試験の合格発表です。
今年はコロナの関係で大変だったと思います。
私達の仲間が増えるのがものすごく嬉しいです。


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