信託された抵当権の抹消

少し珍しい登記にあたりました。

「信託された抵当権」の抹消登記です。

ある不動産に、A会社が抵当権を設定しました。
A社はB社(信託銀行)に債権譲渡します。これが単なる債権譲渡ではなく、「信託」による債権譲渡だったのです。

家族信託では、不動産や現金が信託財産になることが多いです。
ところが、債権も立派な財産で、これも信託することができます。(参考:信託法2条3項)

つまり、A社からB社へ債権譲渡により、抵当権も移転しますが、B社は管理処分を任されているだけで、実質的に権利が移転した訳ではありません。B社は受益者となる者の為に、その財産を管理する訳です。

しくみは、不動産の信託と同じです。
その権利の名義を変えると同時に、それが信託による移転だということを示す為に、「信託」の登記を入れます。

その登記を、今回抹消するという訳です。

信託は、設定する時も、対象となる財産の名義の変更と同時に「信託」の登記もすることとされています。
登記の目的が「〇番抵当権移転及び信託」「所有権移転及び信託」となります。
不動産登記法98条①で「同時にしなくてはならない」とされているのです。

信託が終了する時も、信託財産の登記と同時に信託の登記の抹消をします。
したがって、今回は「〇番抵当権抹消及び信託登記抹消」となります。

やることはほとんど、普通の抹消登記と変わりません。

そして、登録免許税は、普通の抵当権抹消では1000円×不動産の数。信託登記の抹消も1000円×不動産の数。
となりますが、同時に「抵当権抹消」と「信託登記抹消」をする場合は、ダブルでかかる訳ではなく、1000円×不動産の数。となります。

一般のお客様は、さらっと読みとばしていただいて結構です。
ポイントは「信託できる財産」には「債権」もある。ということです。
ちなみに、消極財産である債務は信託財産にはならないと考えられています。
ただし、消極財産があった場合は、「信託」ではなく「債務引き受け」をしてそれを引き継ぐことがあります。
たとえば、借金して買った不動産を信託する場合、借金は、その財産に伴う債務ですから、引き継いで管理するBさんが引き継ぎます。

大きな金融機関は、「債権の回収」を別会社に外注するように、債権を信託し、そこに集めて管理することで効率化を図るようです。

本日は、以上です!

鍵盤に、らくがきされました泣
こらっ、、犯人はだれ??

コメントを残す