司法書士の職責①

昨年末のことですが、司法書士の年次研修に参加しました。5年に1回、参加義務が課せられた研修です。長時間に渡り、講義と討論が続きます。。

内容は司法書士倫理について。司法書士としてどう判断すべきか、どういう行動をとるべきか皆で意見を共有します。

時には、司法書士の職務を全うすればするほど、登記を拒む結果につながるという、皮肉な内容です。司法書士としての責任がそれだけ大きいということが根底にあるということなので、改めて身が引き締まる思いがしました。



このことで皆様に一番身近なところで問題になるのが、不動産売買において売主の意思能力があるのかないのかの判断をする場合ではないでしょうか。私も、もう回復の見込みがない方の本人確認の為、何度か病院に出張した経験があります。仲介さんも買主様も売買の手はずは全て整っている状況で、売買は不可能だと判断するのはかなり勇気がいります。

「○〇先生に断られて、別の○〇先生にお願いしたら、問題ないと言われて売買できた。〇〇先生(後者)のお陰です。本当にいい先生だ」

といったお話はお客様から良く聞かれます。決済をしないと判断すると、仲介様から
「これだから司法書士は融通が利かなくてダメなんだよ」

といった発言も耳にします。司法書士だって勿論、決済したいに決まってます。だからと言って、決済が難しい状況を見過ごすことはできないという、苦しい立場だということを、ご理解いただきたいです。司法書士には職責があるからです。

仲介様から「うちの社内規定で売主の意思確認はとれたから大丈夫です。私が保証します」
と言われることも多いです。でも、司法書士は司法書士の判断できちんと確認する必要があります。
(※時々、そういう声を聞きますが、一部のお客様、仲介様であることはお伝えしておきます。)

※判断が甘くなっても売買を進めて欲しいと言われてよくお話するのが、「では、あなたが買主なら、そういう曖昧な判断によるお取引でいいですか。むしろきちんとしたお手続きで安心した取引を望むのではないですか。」ということです。話が少しそれました。



相容れない立場にもかかわらず、ご理解を示してくださる業者の皆様は本当に有難く思います。今後とも理解しあって早く迅速だけでなく、確実で安全なお取引を進めていけたらと思います。

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