所有権移転登記の更正と真正なる登記名義の回復

不動産を買う際にご夫婦でお金を出し合うことは良くあると思います。
その場合、出資割合に応じて持分で共有になります。

もし、奥様が出資したにもかかわらず、ご主人が単独で名義人になった場合、出資した金額が贈与ととられてしまう場合があります。

うっかりこれをやってしまった場合、原則は「所有権の更正登記」で単有→共有にします。更正登記とは、原始的に誤りを訂正する登記です。
 誤:甲→Aの移転  正:甲→ABへの移転 

登記申請人は、権利者:利益を得る人B 義務者:利益を失う人A+
ですが、ここで忘れてはいけないのは、名義人が変わる所有権の更正の際は前所有者も義務者になるという点です。

そして、原則通り、更正登記には義務者の識別情報(権利証)と印鑑証明書をつけなくてはいけない。。もうとっくに売却した甲さんに連絡をとって協力を求めるのは、なかなか難しいですね。。。識別は処分済みである可能性は高いです。(それでも事前通知という対応の仕方があります。)

更に、この不動産に抵当権がついていた場合、抵当権者は利害関係人になります。この抵当権者の承諾書も必要です。

【所有権更正】権利者:B  義務者:甲A
 添付書類:登記原因証明情報、登記識別情報(とA)、代理権限証明情報 
      印鑑証明書(とA)、住所証明情報(B)、利害関係人の承諾書
 登録免許税:1000円

ABはご夫婦ですが、甲関係のものはハードル高いです。そして承諾書。。
ですが、協力を仰げそうであれば、登録免許税は1000円です。

残念ながら、多くの人が、上記甲さんの協力、承諾などをもらえないのです。
その場合に登場するのが「真正なる登記名義の回復」です。

更正登記は、入れられないですが、明らかに実体と違う登記が入っていることに気付いているのだから、せめて実体と合わせましょう。というものです。

本来は更正なのです。それができない時の応急処置です。
したがって、「真正なる登記名義の回復」登記には、登記原因証明情報の中に、
・現時点での登記は誤りである点
・実際の名義人を明らかにする
・「真正なる登記名義の回復」によって登記をしなくてはならない合理的な事情
をはっきりさせる必要があります。

特に・3番目。つまりこれを言い替えると、
・なぜ、更正ではダメなのか。(真名回復は最終手段ですよ。更正を検討した結
 果、それが難しかった理由は何なのか)
をきちんと書いてくださいね。ということです。
要するに、銀行の協力を得られないなどになると思いますが、更正を検討した経緯を説明する必要があるということです。

この登記ですと
【真正なる登記名義の回復】
権利者:B 義務者:A←ご夫婦のみ!
添付書類:登記原因証明情報、登記識別情報、印鑑証明書、住所証明情報、
     代理権限証明情報
のみとなり、先ほどのようにメンドクサイ書類は一切いりません。
ですが、登録免許税は、あくまで「誤った人から正しい人への所有権移転」ですから、通常の移転と同様1000分の20かかります。

費用の面では【更正登記】の方が安くなります。なんとかこちらでできれば、金額面での負担はほとんど無いのですが。。悩ましいところですね。






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