死因贈与契約による2号仮登記

「死因贈与」と「遺贈」は少し似ていて良く分からないという話を聞きます。
実務では遺贈の方が圧倒的に多いので、そうはいっても死因贈与はあまりないと思っていたら、先日「死因贈与」を調停調書でしたという方に会いました。
そして、登記簿には、それに基づいて仮登記が入っていました。

「死因贈与」:諾成契約(贈与者の遺贈の申し込み・受贈者の承諾)で成立。
  つまり、契約時に成立している。そしてその効力が生ずるのが死亡時。
「遺贈」:遺贈者の一方的な意思表示による単独行為。

両方とも、亡くなった時に効力が発生しますが、「死因贈与」は死因贈与者の生存中であっても、始期付所有権移転の仮登記(105条2号)の規定による仮登記をすることができます。

これに対して遺贈の場合は、遺贈者の生存中においては所有権移転の仮登記をすることはできません。

仮登記は原則として、受贈者と死因贈与者との共同申請で行います。ただし、仮登記義務者の承諾書がある時は仮登記権利者からの単独で申請することもできます。この承諾書は承諾書に押された実印の証明のための印鑑証明書も原則セットで必要です。

しかし、この承諾書の代わりに、公正証書で作られた死因贈与契約書に「仮登記義務者が所有権移転の仮登記を申請することを承諾している旨の記載」がある時は、登記義務者の印鑑証明書を添付しなくても仮登記権利者は単独で仮登記の申請をすることができます。

「登記の原因  始期付所有権移転仮登記
 原因     年月日贈与(始期 Aの死亡)・・・年月日は契約日
 権利者    住所B
 義務者    住所A
 添付書類   登記原因証明情報 印鑑証明書 代理権限証明情報  」
※印鑑証明は登記義務者が所有権登記名義人の場合

この仮登記による本登記
「登記の目的  〇番仮登記の所有権移転本登記
 原因     年月日贈与
 権利者    住所B
 義務者    住所亡A相続人C
        住所亡A相続人D
 添付情報   登記原因証明情報 登記識別情報/登記済証 印鑑証明書
        住所証明情報 相続証明書 代理権限証書    」

仮登記の時は識別や登記済み証が不要です。(印鑑証明は必要)
相続証明書はAの相続人がCやDであることの証明なのですが、通常は戸籍。でも相続情報一覧図があれば、それに代わることができます。

ということで、結論。まず、双方の関与で成立するのか単独で成立するかの違い。そして、仮登記ができるかできないかの違い。

仮登記も仮登記の抹消も、承諾書つきで単独申請可能でしたね。仮登記はそういう意味で、規制が少し弱められます。

一年前のクリスマス!髪が長かった自分にビックリ。

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