遺留分の計算と持戻し免除の意思表示

本日8月24日は、私にとっては人生を変えた大事な1日でした。

その前に事例
父:既に死亡 母:今回死亡 子供:長男と次男

・母→長男:3年前に自宅マンション(2700万円)を贈与
・母に遺言あり:財産現金300万円を長男のみにあげる。
        以前のマンションの贈与については持ち戻しを免除する。

つまり、次男は、生前も今回の相続でも、何ももらえなかった訳ですね。

この例のように、何ももらえなかった相続人は、今回でいうと長男に遺留分(相続人に認められた、最低限度の相続分)を請求することができます。(民法1044条)

さて、次男は長男に、いくら遺留分を請求できるでしょうか。

母の遺言にあった「持ち戻しの免除」について簡単にご説明します。
通常、特別受益といって、特定の目的のために生前相続人にした贈与は、既にお母さんのものではありませんが、お兄様のものであってもお母さんの相続財産に含めて考えるという決まりがあります。(民法903条)

持ち戻しの免除とは、既にあげてしまった財産を、ご本人の意思があれば、もとの財産に戻さなくていいというものです。

事例では、遺言で持ち戻しの免除の意思表示がありますので、お母さんが亡くなった際の相続財産は300万円のみとなります。

では、遺留分はどうでしょうか。
遺留分算定の基礎となる価格は、特別受益と同じ目的で相続開始前10年以内にした贈与は、その額を算定となる価格に含めて計算します。つまり2700万円と300万円を足した3000万円に一定の遺留分の割合をかけた金額(今回の場合4分の1)が遺留分の金額になります。
(2700万円+300万円)×4分の1=750万円←次男から長男への遺留分の額

この「遺留分算定の基準となる価格」と「持ち戻し免除の意思表示」の関係が今回の論点です。
持ち戻し免除の意思表示があれば、遺留分算定の際もその基準となる額に含めなくていいとすると、今回の遺留分額は
300万円×4分の1=75万円となります。

このように、次男の請求できる金額に大きな違いが生まれます。

持ち戻しの意思表示が影響するとなると、意図的に次男の遺留分を大きく下げることが可能となってしまうのです。
従って、これは認められておりません。つまり、持ち戻し免除の意思表示はあくまで特別受益として、相続財産を考える時に適用されるものであり、遺留分の算定には無関係ということです。

持ち戻し免除の意思表示があろうが無かろうが、10年前の特定の目的の贈与は財産に含めて考えます。

ちなみに、あげた贈与を戻すという意味で、相続税の場面でも「持ち戻し」という言葉が出てきます。
これは3年以内の贈与が財産に含まれます。税金の話なのか、相続財産の話なのか、遺留分の話なのかで、同じ言葉でも変わりますので、混乱しないようご注意ください。

3年前の今日、3女が産まれました。もう、本当に可愛くて可愛くてたまりません。親バカですみません💦
ママも仕事帰りにケーキ。どこに居ても、想わない日はありません。

読む前から、分かってる。感動するんでしょ。って思って読んだのに、読むとやっぱり、ものすごい泣けました。

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