抵当権移転について(債権に随伴する場合と、抵当権のみの移転)

抵当権とは、債権者が債務者に債権を持っていて(お金を貸している)その弁済が滞った時のために、不動産を担保にとっている状態のことです。いざという時はその不動産を弁済に充てることができる訳です。この抵当権について、もともとの抵当権者から別の人へ移転する場合があります。2通り説明します。

①BさんがAさんにお金を貸して、Aさんの不動産に抵当権を設定していました。
この債権は、1000万円請求できる権利ですから、これも財産です。この財産をCさんに譲った場合、今度はCさんが債権者となり、Aさんに請求ができる訳です。そして、抵当権も債権にくっついてCさんに移動します。これを抵当権の随伴性(ずいはんせい)というのですが、つまりは元となる債権と共に移動する訳です。

②それに対し、今度は下の図です。もともとのAとBの設定関係は同じですが、BさんはAさんにお金を貸していると同時にCさんから借りてました。その時、Bさんが自分のもつ「抵当権」をCさんに負っている債務の担保とすること。これが転抵当(てんていとう)です。
A→BとC→Bの債権債務は全く別のものです。ところが、抵当権(万が一の時に不動産を売却して借金の弁済に充てることができる権利)を他の債権の担保としたのです。
この場合、債権の譲渡に伴って抵当権が移転したのではなく、「抵当権に対して、新たに抵当権が設定された」と考えます。

登記簿の記載例です。①

大きな違いは、被担保債権とは別に抵当権のみ動きがあるかどうかです。

ちなみに②の転抵当を抹消する場合は、BさんとCさんで抹消します。最初のAさんBさんの抵当権は生きてます。

②の転抵当がついているもともとの抵当権(AB間の)を抹消する場合は、Cさんが担保にとっていた抵当権が消えることになりますから、AさんBさんで抹消するのですが、Cさんの承諾書が必要です。これがあれば、もともとの抵当権が消えると同時にBC間の転抵当も職権で(法務局が)消されます。

①の債権譲渡の場合は、抵当権が譲渡されてますから、売買で言えばBさんは過去の所有者、譲り渡し人で関係者ではなくなります。したがって、①の抵当権を抹消する場合は、AさんCさんの当事者だけで抹消することになります。

「抵当権」というのは、その抵当権自体が他の「新たな抵当権」の対象となるということです。

犬が好きで、飼うのが叶わないので、弊所看板犬として見守ってもらってます。良く登場しますので、宜しくワン!

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