私が新潟から初めて上京したのは、高校卒業してすぐだったのですが、そこでアパートを借りる手続きを初めて経験しました。
忘れられないのは、契約の時、「お姉さん、抵当権って知ってる?このアパートには抵当権がついてます。いいですか?」と聞かれたことです。
今では毎日のように抵当権の抹消、抵当権の設定などに触れていて、ものすごく身近なものですが、当時の私は初めて聞く言葉でした。「抵当権って何ですか?何で私にそんなこと聞くの?」と質問した記憶があります。
皆様にとって、一番身近な抵当権は住宅ローンですよね。買ったばかりのマイホームに抵当権を設定することが融資の絶対条件です。
住宅ローンの返済がとどこおると、銀行はマイホームを競売にかけることができます。この競売代金をもって銀行は融資金の返済に充てます。
私が借りたアパートはオーナーさんの居住用ではありませんでしたから、いわゆる投資用の不動産です。その不動産を買うためにお金を借りた場合もありますし、売買代金とは別の理由で、たまたまお金を借りた場合もあると思います。
いずれにせよ、返済できなかったら不動産は売却されます。
住んでいる私はどうなるのでしょうか?
アパートの借家人は借地借家法により、引き渡しを受けていれば借家権(賃貸借で住む権利を他に主張できる権利)があります。
ただし、このアパートに他の権利があった場合(抵当権)、どちらが先に権利を得たかによって、賃借人の権利が主張できるか決まります。
当時の私のように、抵当権が先にある場合、そちらが優先するので、私は、アパートが競売されて新たな買主から明け渡し請求されたら、自分の権利を主張できませんでした。
あまりないとは思いますが、実際競売にならなくて良かったです(笑)当時の私はちんぷんかんぷんで、良く分からないけど、競売なんて滅多にないだろうと思ってました。
あの時の質問は、こういうことなんだ。と今更理解した訳です。司法書士になって、こんな感じで昔のことがやっと腑に落ちることがあり、分かるようになって良かったと思います(笑)
でもこれ本当です。不動産などは高額な買い物な上に分かりづらいので、知っているかいないかで大違いだと思います。