担保権の順位変更登記

不動産登記の登記簿は一番左に順位番号が入り、登記申請の順番で並んでいます。当たり前ですが、権利部の甲区の所有権は全部が移転している場合、前の所有者が権利は既にありません。最新の順位番号の方の権利が生きている状態です。
(一部移転の場合は前の順位番号の所有権の残りの部分と、移転した部分の所有権は同時に権利があります。)

ところが、権利部の乙区の担保権は、何本か登記が入っていた場合、全部が効力がある場合も沢山あります。
1  抵当権設定 A          1番  C
2  抵当権設定 B   →      2番  B   
3  抵当権設定   C          3番  A
と3本登記があり、どれもまだ抹消されていなかったら、一つの不動産に3本抵当権が設定されている訳です。設定登記の順番で1番、2番、3番の順番は何に影響するかというと、例えばこの不動産が競売にかけられた場合に、優先的に弁済される順位を指します。1番の抵当権者に支払いがされて余ったら2番に弁済されることになります。
ですので、そこまで価値のない不動産に1番で1憶円の債権額の抵当権が入っていた場合、その後に設定される抵当権については、登記入れてもあまり意味がないですね。。。

さて、上記の例で、この優先弁済権の順番を変える登記が順位変更登記です。
順位が上がった者、下がった者、順位が変わらない者も含めて全員で合意をする必要があります。そしてこの全員が申請人となります。

「登記の目的  1番、2番、3番順位変更
 原   因  年月日合意
 変更後の順位 第1 3番抵当権
        第2 2番抵当権
        第3 1番抵当権
 申請人    本店 A
        本店 B
        本店 C          」となります。
Aだけ根抵当権であっても(確定の前後を問わない)、変更後の順位のところの抵当権が根抵当権になるだけで、抵当権と根抵当権が混じっていても同じように順位変更OKです。仮登記された抵当権、根抵当権でもOKです。

【順位変更の効力が生じるための条件】
①順位変更する担保権者全員の合意
②利害関係人の承諾 ※登記の原因日付は①と②のいずれか遅い日
③順位変更の登記

つまり登記をして初めてこの変更の効力が生じます。
(移転登記などは登記はしなくても契約して代金を払えば効力は生じます。登記はあくまで権利を主張するためのものです。)
従って、順位変更の登記を仮登記によって行うことはできません。仮登記ではまだ順位変更は起こっていませんから、先に登記しておくことはできないです。

順位変更する当事者は登記があることが大前提です。ですが、権利は持っていてまだ登記していない担保権者が合意に参加して変更した場合、その未登記の担保権が登記されることを条件として順位変更登記を入れることはできます。
合意が無効とはなりません。
 
登録免許税は 不動産の個数×担保権の個数×1000円です。
ちなみに、A,B,Cが国などの非課税の対象となる法人(登録免許税法4条1項)の場合でも、順位変更では適用されず、課税法人と同様にカウントされます。
ですが、A,B,Cが全員非課税法人だったらゼロ円です!

子供って、本当にすごい。全部吸収して、ぐんぐん伸びる。その吸収力。その成長。いつのまにかはっとします。
大人である私は一進一退。。少しでも前へ。





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