新築建物の保存登記の申請適格者

新築建物を建てた場合の登記の流れについてご説明します。

①建築確認(着工前)→②建築工事→③完了検査(建築後)→④表示に関する登記→⑤保存登記

①と③はその建物が建築基準法にのっとった建物かどうか着工前と建築後に検査するものです。
きちんと基準をクリアしていると①確認済証③検査済証がそれぞれ交付されます。

その後、土地家屋調査士の先生がご専門の④表示に関する登記。(表題部)こちらは建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積などが載る欄で、最後に所有者がのります。ただし、ここに記載されているからといって、権利の対抗力(所有者としての権利を主張できる)がある訳ではありません。

そして最後に⑤の保存登記が私達司法書士の専門分野になります。代々所有者がのる権利部の登記の欄に初めて所有者の名前を載せるための登記です。こちらには権利を他に主張できる対抗力があります。

「登記の目的 所有権保存
 所有者   住所  氏名
 添付書類  住所証明情報(住民票)
       代理権限証明情報(委任状)
 法74条1項1号申請        」
申請書をご覧いただくと分かる通り、権利者義務者の共同申請ではなく、所有者による単独申請です。初代所有者のため、義務者はいません。

そのため、保存登記では申請適格者をきちんと定めて、その者からしか申請できないようにすることで、権利の真正を保証することにしました。

74条1項1号前段  表題部所有者(表題部の所有者欄に記載されている者)
74条1項1号後段  表題部所有者の相続人
74条1項2号    所有権を有することが判決によって確認された者
74条2項      区分建物の表題部所有者から直接権利を取得した者
           ※区分建物(マンションをイメージしてください)
           でも1項1号申請OK

保存登記では、上記のうちどの申請適格者に該当するかを申請書に記載する必要があります。ちなみに、1項1号では前段後段まで書く必要はありません。

よく考えたら保存登記は初めて所有者になる登記なので、当たり前ですが、移転とは根本的に申請構造が違うのです。

余談ですが、保存は前所有者がいないケースなので、建物のことが圧倒的に多いです。というか、ほとんど建物です。
ですが、まれに土地についてもあります。
土地って、ふつう既にそこにあるもので、誰かが所有者のことが多いと思いますが、例えば埋め立て?とか払い下げとかで、初めて所有権の登記をするということが無くはないのです。

以上、保存登記の申請構造についてでした。おやすみなさい。

衣替えで、捨てるつもりの新生児用のおくるみを手にしたら、懐かしい感情がこみ上げてきて、捨てられなくなってしまいました。絶対いらないのに。。
カーネーションとセダム

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