気が変わって相続放棄?

御母様のご相続のお手続きを進めていたお客様(図の色付きハートの方)が、手続き進めている中でこんなことをおっしゃいました。

「私いらないから、放棄をして娘に直接渡せるかしら」

最初は、普通にお父様、弟様と遺産分割協議をしていたのです。
ところが、ご自身の将来の相続の際、一人娘様が払う相続税のことを考えたら、直接娘さんに渡した方がいいとお考えになったようでした。

確かに、順番に財産を承継するより、代とばしをすれば、その財産については相続手続きが一回省略できますから、税金も一回で済む可能性は高いです。

ただし、それをするためには、お母様が生前に遺言を残しておく必要がありました。
お孫様は、その親が生存している場合は、祖母の相続人ではありません。
また例え、ご依頼者様(色付きハートの方)が放棄をしても、その権利が自然に娘さんに行くワケではありません。

代襲相続(相続人の権利をその直系の子供が引き継ぐこと)は相続人が「先に死亡」「欠格」「廃除」で相続できない時に起こります。(民法887条)

亡くなった方からみて次の次の代が相続人になる代襲相続が発生する原因に「親の相続放棄」は含まれないのです。

なぜなら、「相続放棄」というのは、最初から相続人ではなかったことになるからです。
もし、ご依頼者様が放棄をしたら、そもそもの相続人はお父様と弟様のみになるため、ご依頼者様の娘さんに財産がいくことはありません。

また、相続放棄をするのであれば、亡くなった方の一切の財産に手をつけてはいけません。その一部であっても何か処分行為をした段階で、「相続する意思あり」とみなされてしまいます。

「遺産分割協議をした」というのは、財産をどうするのか話し合いをしている訳ですから、その処分行為に該当します。
従って、協議をした後で「やっぱり気が変わった」というのは難しいんです。
相続放棄には、期間も3ケ月と決められていますから、放棄するなら、最初からそのつもりで「財産の関与をあえてしない」ことが必要です。


今日は特別な日

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