遺言者が負担している債務が多額で遺言者の預貯金で弁済することができない場合に有効なのが清算型遺贈です。
遺言者が死亡した後に、不動産を実際に売却し、その代金から債務の弁済をし、残金を受贈者に配分します。
不動産の売却や債務の弁済などの手続きを遺言執行者が行います。
特にその不動産に抵当権がついていた場合、遺贈しても受贈者はかえって困ってしまいます。住宅ローンであれば債務者の死亡によって抵当権は消えますが、中には商売のための根抵当権がついている場合もあります。
「1.遺言者が有する下記不動産を含む財産をすべて換価し、その換価金から遺言者の一切の債務を弁済し、遺言執行に関する費用を控除した残金を、Aに3分の1、Bに3分の1、Cに3分の1ずつ配分する。
2.遺言者は本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。」
こんな形で分けるといいと思います。
登記がどうなるかというと、一旦名義を遺言者から相続人へ移したあと、相続人から買主へ、名義が変更することになります。
もし、相続人が誰もいない場合は、遺言者から「相続財産法人」へ名義変更をします。(遺言執行者が申請人)※1
そして、相続財産から買主へ所有権が移転します。
「登記の目的 〇番所有権登記名義人氏名変更
原因 年月日相続人不存在
変更後の事項 登記名義人 亡甲山太郎相続財産
申請人 住所 亡甲山太郎遺言執行者乙山次郎 ※1
住所 亡甲山太郎相続財産管理人乙山次郎 ※2
本来、相続人不存在の場合、通常、相続財産管理人が選任された後、相続財産管理人から「相続財産法人」への名義変更が入ります。※2
ところが、清算型遺贈で名義変更が行われる場合は、相続財産管理人を選任せずに遺言執行者から名義変更の手続きが可能です。