何十年も前のこと、当時まだ30代だったお客様が住宅ローンを組んで買ったご自宅を、転勤で離れなくてはならなかった時のお話をされていらっしゃいました。
「ローンは返したんだけど、しばらくその家放置したままだったんだよなぁ。」
「そしたら、その会社、つぶれちゃってさぁ」
銀行なくなっちゃった、困ったなぁ、って言いながら、横浜来ちゃったんだよね。(そのお家は北海道です)
その当時、近所で会社をやってた友人は、その銀行に9000万円預けてて、1000万円返ってきたんだけど、残り8000万円なくなっちゃって、「仕方ない!一から始めるか!」って笑ってたよ。(ホントかな。私ならそうはできないワ)
そういう他愛もない昔話だったのですが、銀行がつぶれることも、ないとは言い切らない。
昔の銀行の抵当権がついていたら、お問い合わせください。
「つぶれる」と一言で言いますが、会社法でいうと、「解散→清算」です。
解散は「法人格がなくなる原因が発生した」ことを意味し、清算で初めて、法人格がなくなります。
解散から清算までは、法人格をなくすための残務処理をする時間です。
債権債務もこの期間で処理する必要があります。
このお客様のように、債権債務そのままにして清算が終了している場合は、当時やるべき手続きが完了していない訳ですから、本来であれば清算結了の登記を抹消して、会社の法人格がある状態で登記手続きをすべきです。
清算手続き中であれば、「清算人」が実際に清算手続きをすることになり、これも役員登記が必要です。
そして、代表清算人の印鑑の届出も必要になります。
つまり、抵当権抹消登記をする前に、株式会社の商業登記が必要になります。
ただし、ここで少し原則が緩和される場合があります。問題になるのが、閉鎖してしまった会社がやらなかったのが、「登記のみ」なのかそれとも「債権の回収と登記」両方なのかです。
①債権の回収はできていて、登記だけしていない。
→登記だけであれば多めに見ましょう。商業登記上の手続きはしなくてもOK
清算人選任の決定書を添付する
②債権の回収もできていない。→原則どおり
・清算結了の抹消、清算人、代表清算人の登記、印鑑の届出
上記①の場合は、登記だけのために、わざわざ原則通りの手続きをするのは経済的にも合理性を欠くため、多めに見てくれるというものです。
法人格がすでに亡くなっているため、誰か会社の代表として手続きをする「清算人」を選任する必要はありますが、それを法人の謄本にのせる必要はなく、抵当権抹消登記のみ申請することが認められています。
「登記の目的 一番抵当権抹消
原因 年月日弁済
権利者 x
義務者 Y株式会社 代表清算人〇〇」←代取ではなく代表清算人
ちなみに、代表清算人の選任方法については、いくつか会社法に規定がありますが、すでに解散している会社であれば裁判所に清算人の選任を申し立てるのが一般的だと思います。
押し入れで遊ぶのって、楽しいですよね。
「人は大きな困難に直面したときに八方ふさがりのような気持ちになって、どこかに解決の糸口はないかともがき苦しみます。そんな時、心の根っこを深く深く伸ばしているのではないでしょうか。そして、いつの間にか根は力強く張られ、自分自身の土台になってくれる。」
最近読んだ記事で心に残った文章を皆様に。枝を伸ばして大きく成長させる時期もあるし、根っこを深く張ってる時期もあるんです。うまくいかない時は、自分の根を張るチャンスなのかもと思いました。