無効な自筆証書遺言(日付の記載編)

事務所にお越しいただいたお客様の亡くなった御母様が、感心するくらい几帳面に、ノートに書き残したものを拝見させていただきました。

お人柄が分かる手書きの文字でした。その息子様であるご相談者様もとっても丁寧な方でした。

財産の分け方についても記載がありましたが、残念ながら遺言としては不完全。
でも、相続人様がそのご意思を継いでいらっしゃるので、遺言なんて必要ないのではと思うくらいです。

遺言を自筆で残す場合は、形式上決まりがあり、それを満たさなくてはいけません。
(民法968条)民法で定められた形式を欠いた遺言は無効になります。

*日付の記載がない自筆証書遺言の効力と登記の可否
「自筆証書遺言の作成日付として「年月」の記載はあるが、「日」の記載のない場合は、日付の記載のない無効な遺言であるから、それに基づく遺贈の登記申請は受理すべきでない。」(昭26・8・31民事甲1754)

判例においても
*「日付の記載を「明治42年12月」とした自筆証書を日付の記載がないことを理由として無効」としています。(大判大7・4・18民録24・722)

「日」の記載を欠く遺言としては、「昭和41年7月吉日」と記載された遺言書について暦上の特定の日を表示するものとは言えず、無効としている判例もあります。(最判昭54・5・31民集33・4・445)

さて、自筆証書遺言は発見され、執行される際、検認の手続きが必要となります。
(民1004条)
裁判所の手続きとなることから、それを受ければ有効と誤解をされることがあります。

ここでお伝えしたいのは、検認は「遺言の方式の一切の事実を調査し、遺言書の状態を確定し、後日の偽造・変造を防止」するためのものです。一種の検証・証拠保全手続です。

これを受けたからといって、「遺言書の内容の真否、有効・無効を判断するもの」ではありません。

同様に、自筆証書遺言を法務局に保管する手続きも、預けておけば安心と思いがちですが、法務局で内容まで確認する訳ではありません。

第三者の手続きを通すことにより、安心してしまいがちになりますが、本当にきちんと実行されるかどうか、そこが大切です。せっかく残されるので、ぜひ意識してみてください。

先週の日曜日、司法書士試験だったんです。ちょうど新潟に向かう新幹線に乗っていて、あの時のことを思い出しました。
1年目だけ、神奈川。それ以降毎年新潟で受験しました。会場に行く負担と心配も、最小限にしたいと思い、会場の予備校の目の前のホテルを一週間前からおさえ、全教材を宅急便で送るという気合の入れようで、直前の不安定な気持ちを落ち着かせていました。

懐かしいです。

直前期は、色んな想いが抱えきれなくなって、若干病んじゃっている人も居ますけど、、それも含めて懐かしいです(笑)


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