相続のご相談をしていると、財産の分け方について生前に援助したことを考慮したいというお声をとても良く聞きます。
【例】長男(前妻との子供)大学生A 大学進学の際500万円援助
妻(再婚相手)、次男(後妻との子供)中学生 これから学費かかる
長男には、既に学費を出して援助したので、遺言では次男の学費を残してあげたいと考えている。
【遺言書】
第1条 遺言者〇〇は、次の通り各相続人の相続分を指定する。
(1)妻 だれだれ 2分の1
(2)長男 A 8分の1
(3)次男 B 8分の3
第2条 遺言者は、年月日に長男Aに対して大学進学の学費として500万円を贈与していること、及び次男Bはこれから大学での教育を受ける立場であることを考慮して前条の定めをしたものであり、民法第903条第1項に規定する相続財産の算定上、上記学費の贈与額は相続財産の価格に加えないものとする。
令和〇年〇月〇日 遺言者〇〇
さて、この第2条の規定は、一般的に何と言われる規定でしょう?ヒントは【〇〇〇〇の意思表示】です。
そう。【持戻免除の意思表示】です。
民法903条には【特別受益】と言って、一定の目的で生前に贈与した財産を、既にあげているにもかかわらず、亡くなった方の相続財産に戻して取り扱うことを定めています。
ただし、あげたものについては、本人もあげたものだから、戻さなくてもいいと意思表示があった場合は、持ち戻しをしなくていいですよ。というのが先ほどの【持戻免除の意思表示】です。
先ほどの遺言では、その代わり、今遺言者がもっている財産については、学費を援助した長男と同様、これから次男にも援助する意味で割合を多く分けてあげるようになっています。
このように、分けた根拠が分かると、たとえ少なくても納得できますね。少なくとも愛情の差ではないので、無駄に傷つくことはなくなります!通常このような「分け方の根拠」については、「付言」に書くことが多いです。
ちなみに、既にあげたものを、本人の財産に戻すような規定は【遺留分】を計算する上での相続財産にもあります。
1044条 相続人に対する生前の贈与は10年、目的については、特別受益と同様、の場合は、遺留分の計算の際財産に含めます。
そして、亡くなった本人が、【特別受益の持戻免除】の意思表示をしたとしても、遺留分の際の持戻は、本人の意思表示によって免除されることはありません。たとえ全財産を特定の人にあげるような、極端な内容の遺言を残していたとしても、もらえない相続人に最低限の保証をしたのが、この遺留分です。この遺留分は、本人が絶対あげたくないと思ったとしても、相続人の権利を奪うことはできません。
もし、遺留分計算の際の持戻を、本人の意思表示で免除できるとしたら、例えば亡くなる直前に大量に贈与をして、持戻を免除する意思表示をすれば、実質他の相続人の遺留分請求権を奪ったと同じことが出来てしまうからです。
ちなみに、持戻免除の意思表示は遺言でしかできない訳ではありません。
特別な方式は不要と解されており、明示たると黙示たるとを問わないとされています。
遺贈の場合は遺言ですることが多いですが、贈与の場合は、贈与の際にしても、もちろん遺言でしてもOKです。
黙示でもいいとなってますが、黙示で意思を伝えるくらいだったら、明確に書いておいた方がいいでしょう。
このあたりは緩いですが、自分の意思は何らかの方法できちんと伝えておく必要があります!
【お正月休みの想いでその③】
すみっこぐらしのお正月!すみっこぐらしのこおりくずしゲーム。これも、くろひげと並んでお気に入りゲームの一つになりました。シンプルなルールで、盛り上がります!長女がパズルとか組み立てが好きで、気に入って何度もやってました。そのうち、白とブルーの配色も模様にこだわるように作り始めます