遺贈の際の、前提としての住所変更登記

前回、遺贈だと共同申請(申請人が権利者と義務者)、相続は単独申請だとご説明しました。

それに伴って、義務者が出すとされている添付書類がいるかいらないか決まるとも書きました。
(つまり、単独申請だと、義務者の添付書類が不要になります)

共同申請の場合に影響を受けることとして、もう一つご紹介します。

義務者(権利をあげる人)の住所や氏名が変更になっていた場合に、一回変更登記を入れなくてはならないかどうかです。

*共同申請の義務者が、登記簿上の情報から何か変更を生じていた場合、一度変更登記を入れてから権利者に移転登記をすることとなっています。

相続に限らず、売買や贈与などでも同様です。
不動産を買った時と売る時で住所変更があった場合は、変更登記を入れないと登記は通りません。

登記簿上の人と、登記申請の義務者の「住所」「氏名」は一致していなくてはならないからです。

ただ単に、「住所をつなげる公的証明書(前住所の載っている住民票など)」をつけるだけでは足りず、変更登記まで入れる必要があります。

ところが、相続などの単独申請ではその必要はありません。
権利を失う人は亡くなった人になるのでしょうが、義務者ではないため、たとえ亡くなった人の最後の住所と登記簿上の住所が一致していなくても、変更登記を入れる必要はありません。(住所をつなげる書類はつけます)


さて、ここからが本日の本題ですが、
先ほどのご説明の通り、相続登記では亡くなった方の住所変更登記は必要ありません。

ところが、遺贈に関しては、次のような登記研究があります。
「遺贈者(あげる人)の登記簿の住所が死亡時の住所と相違しているときは、遺贈による登記をする前提として、住所変更の登記をしなければならない。」(登記研究380・81)(登記研究145・44)

住所変更の登記は通常本人が申請しますが、この場合、本人は亡くなっている訳ですから、代わりに
「遺言執行者」「相続人(全員または1人)」が申請できます。
「受遺者」も債権者代位(自分の権利を守るために申請することに利害関係のある人が本人に代わってやること)として申請できます。



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