面倒くさいには意味がある

司法書士になって最初の外回りの仕事は、法務局への登記の補正でした。要するに申請した登記に不備があるからその訂正です。それでも、登記の実務に関わる仕事でワクワクし「どんな訂正なんだろう。勉強しなきゃ」という思いで出かけました。

立地がいいとは言えない法務局にわざわざ電車を乗り継ぎ、やっとたどりついたところで、言われた訂正の内容が数秒で終了する、ものすごく些細な訂正で、「え、こんだけ?」と思ったのを今でも覚えています。書き足しも一文字だったと思います。人が往復半日かけて移動して、その補正があっという間すぎて、、私のやる気も拍子抜けしました。

それでも、補正しないと登記は通りません。「わざわざ来るの大変だろうから、書いといてあげるよ」とはなりません。書類の不備を棚に上げて、「もう少し融通きかせてくれたらいいのに。。。」と思わずにはいられないことも。。。


お客様の中には、登記は行政の窓口のように、出したらその場で手続きしてくれて、「○番のお手続き完了しました」と呼ばれる!と思っている方もいらっしゃいます。

でも、実際は出した申請書にはかなり鉛筆で一字一句チェックした後があり、付箋も沢山ついていて、細かく審査されていることがうかがえます。その審査とは法律(不動産登記法、不動産登記規則)や先例(法律では解決できない事例ごとの回答)をもとに決まった形式になっていないと、補正どころか却下になったりもします。

売買の登記などは、必ずその日に申請することをお約束してお引き受けしている以上、却下は責任問題になりかねず、緊張感を持ちながらやっています。

登記を書き換えるということは、それだけの意味をもっているということです。地名でケが入る際のケが大きいケなのか小さいヶなのか、お名前の漢字の細かい違い、小さいところまで見る癖がつきました。本当に地味な作業の繰り返しですが、権利関係を守る登記が正しく入るため、配慮していきたいです。

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