1号仮登記と2号仮登記

完全な登記ではないのですが、将来条件が備わった時の為に順位を保全しておく予備的な登記があります。これが仮登記です。仮登記には2種類あります。

1号仮登記(不動産登記法105条1号)
物権変動は既に生じているが、①義務者の識別情報 ②第三者の許可証・同意書・承諾書を添付できない時

2号仮登記(不動産登記法105条2号)
物権変動はまだ生じてないが、将来において権利変動を生じさせる請求権が発生している場合
・売買予約 ・請求権が始期付、その他将来において確定すべきものである
また
・物権変動そのものが始期付又は停止条件付の場合

条件がそろったところで、仮登記の本登記をするのですが、その際は付記登記(順位番号同じ)で入る為、順位を先に保全できます。

ちなみに、1号仮登記で識別情報ない場合は、当然ですが、2号で識別つけられる場合でも識別は添付する必要がありません。あくまでも仮登記なのでまだ、つけなくてもいいのではないかという見解です。

また、通常登記は共同申請が原則ですが、仮登記には単独申請の特則が認められています。(不動産登記法107条)
・仮登記義務者の承諾書を添付した場合
・仮登記を命ずる処分の判決書の正本を添付した場合

判決が出て単独申請は本登記でも同じですが、義務者の承諾書をつけて単独申請は、仮登記ならではです。

仮登記が入ったからといって、民法177条の対抗要件(自分の権利を他に主張できる)の効果はないので、少し制度を緩和して単独申請でも、問題ないだろうということのようです。

ものすごく簡単にいってしまうと、仮登記では、権利を主張することはできないのです。将来的に所有権取得できそうということを先に言っておくだけの効果しかないので、制度が緩いということです。

個人間で、所有権取得した方が、本登記ではなく、仮登記でいいよ。というのはほとんど見受けられないと思いますが、抵当権設定の登記で、買主の業者と良く取引をしている金融機関の間柄だと、融資はするけど、抵当権の登記入れないとか、「仮登記」でいいということがあります。

あえて登記しなくても大丈夫だから、という信頼関係です。
登記をいれれば、お金がかかりますから、やらなくても安心であればOKです。

ちなみに、所有権の移転の場合、登録免許税は通常1000分の20ですが、
仮登記は半分の1000分の10
本登記をする際は残りの1000分の10

抵当権設定仮登記の登録免許税は1筆につき1000円。
本登記の時は、普通に設定する1000分の4から仮登記の際に払った金額を差し引いた金額
となっているので、トータルは変わりません!


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