相続の不平等

亡くなった方の財産をどう相続するか、それは民法に定められています。しかし、個々の事例をみてみると、それでは納得がいかないと思うことも多いのが現実です。

先日、ご相談者様から、次のようなお話を伺いました。
「自分は、身寄りのない叔母を助けて進路を諦めて叔母に代わってお店を盛り立ててきた。ところが、ある時、叔母が自分の姉の結婚相手を探して結婚させ、姉夫婦と養子縁組をしてしまった。自分は義兄に嫌がらせを受けたためフランスに渡り、20年暮らしてきたが、帰国してみたら叔母が亡くなり、叔母の財産である文京区の家は義兄が勝手に売却していた。」

相続の優先順位は親子が兄弟に優先することは定められていますので、養子縁組した養子が相続することは間違いではありません。ただ、親子、兄弟等の身分関係のみで決められてしまうことで、亡くなった方との関係性が無視されてしまうこともあります。生き別れた子と、亡くなった方に尽くした親族では、接点のない子が優先されてしまいます。

昨年相続法の一部が改正され、特別寄与の規定が設けられました。(1050条)今まで相続人の中で特に貢献した方には寄与として取り分が多くなる規定はありました。それを、相続人でない親族にも貢献した分の取り分を認める規定です。
今まで感じてきた相続における不平等性に対する改正でありました。少しでも改善されれば良いと思います。

(寄与分が認められるためには、無償でつくしてきたこと等条件があるため、先ほどの例が当てはまるとは限りませんが、心情的に面白くない気持ちが良く分かりましたのでご紹介させていただきました。また、法律は個々の事例を一般化する都合上、限界があるものだと理解しております。ただ、家族の形は本当に様々で、現場でお話を伺えば伺うほど、個々の事情が見えてくるものだと思います。)

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