遺言執行者の地位及び権限の範囲

遺言を作る際、遺言執行者を定めることがよくあります。

昨年の相続法の改正により、この遺言執行者の地位及び権限が少し変わりました。

「遺言の内容を実現すること」が遺言執行者の責務であることが条文に盛り込まれました。

「特定の財産を特定の相続人に相続させる」内容の遺言があったとします。
今までは上記遺言は「遺産分割方法の指定」だから、被相続人の死亡により直ちに「相続」により承継されたものと解されておりました。

この場合、相続による所有権移転登記の申請人は、承継者です。
(つまり相続登記の際、私達司法書士に委任状を書くのはこの承継者です。)
遺言執行者が指定されていたとしても、遺言執行者が登記の申請人になることはありませんでした。

上記は2019年6月30日までに開始した相続に関する取扱いです。

これからは、同様の遺言があった場合遺言執行者が承継人名義の移転登記の申請人になります。(遺言執行者による単独申請:司法書士に委任状を書くのは遺言執行者です。)

民法改正により、法定相続分を超える権利については登記が対抗要件になりました。したがって、遺言執行者は承継人に対して対抗要件を備えさせる行為をする権限を有することになりました。

簡単にいうと、遺言執行者の権限が大きくなったと思います。
受験生の頃、遺言執行者がいても結局承継人が手続きをすると習い、だったら遺言執行者は何のためにいるのか、若干良く分からないところがありました。
これからは、遺言の内容の実現の為の手続きは遺言執行者がやるとはっきり明確にされた訳です。

遺言執行者は特定の個人の場合もありますし、法人の場合もあります。
一般的に法人は、たとえスタッフがいなくなっても存続することが多いので長期的な案件には向いているのかなぁと思います。(もちろん、法人であっても保証はありませんが)

このように遺言執行における登記実務は2019年を境に大きく変わりました。
相続の場合、手続きは最近であったとしても、実際の相続は随分前に発生していることもございます。
改正後の民法が適用されるかどうかは「相続開始(つまり亡くなった日)が改正前か後か」によりますので、実務では両方の取り扱いがされることになります。

少なくともこれから遺言を作成する場合は改正後の民法が適用になりますので、実際相続が発生したら、誰がどのように手続きをしてくれることになるのかイメージしながら作成してみてください。

きょうも良い一日をお過ごしくださいね。暑そうですが、頑張りましょう!!!
いつもありがとうございます。
珍しく、出勤前に書いている。。。




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