昨日に続き、住所変更の話です。
金融機関によっては、抵当権の債務者の住所変更も求められるケースがあります。
ところで、
Q:抵当権を設定したり抹消したり、その当事者はだれだと思いますか?
良く借金をした債務者と銀行と思われる方がいらっしゃいます。
これは実は間違いです。借金をした債務者の債務を自分の土地で担保する、抵当権とはその担保提供の行為なので、土地の所有者と銀行というのが正解です。
通常、借金をした人と債務者は同じことが多いですが、例えば子供の借金を親が自分の土地で担保する。ご夫婦共有の不動産に債務者ご主人のみの抵当権を設定する。。など、借金をしていない方が担保としての土地と提供するケースもあります。
話がそれましたが、抵当権の表示の債務者は債権額や損害金と同様、債権の内容を記載した箇所になります。
【抵当権の場合】
目的 〇番抵当権変更
原因 年月日住所移転
変更後の事項 債務者の住所
〇〇県〇〇市〇〇町
権利者 簡単にいうと銀行(保証会社)
義務者 土地の所有者
添付書類 登記原因証明情報(住民票) 登記識別情報 会社法人等番号
登記識別情報
一方、【根抵当権の場合】
目的 〇番根抵当権変更
原因 年月日住所移転
変更後の事項 債務者
〇〇県〇〇市〇〇町
甲野太郎
権利者 簡単にいうと銀行(保証会社)
義務者 土地の所有者
添付書類 登記原因証明情報(住民票) 登記識別情報 会社法人等番号
登記識別情報 印鑑証明書
まず、根抵当権では土地所有者の印鑑証明書を求められます。
(抵当権では不要です。)そして、変更後の事項が少し違います。
抵当権ではまず「どこを直すか」を書いて、次にその箇所の正しい表記を記載するという形をとります。
ところが、根抵当権の場合、債務者の箇所を丸ごと書き換えることになります。
私見ですが、所有権の名義人も抵当権の債務者も、「移転」や「設定」の時にはきちんと事実関係の審査を経て権利変動が確定したもの。それを後で住所の変更の箇所だけ部分的に直す審査です。
一方根抵当権においては、その性質上被担保債権の範囲を明確にするということが大変重要なため、前2つの変更より厳密な手続きを経たということです。
そのため、部分的に修正するというよりは、新たに書き直すことになります。
似ているように見えて、実はそんな違いがありますので、その制度のイメージを少し持っておくと理解しやすいですね!
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