ご無沙汰しております!
今日は遺言執行者の就任について書きたいと思います。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを担当できる人のことで、ご親族が指定されることもあれば、士業がなることもあります。
遺言に本人が記載しておけるのです。
何も指定がない場合は、お亡くなりになった後、家庭裁判所に申し立てをすることも可能です。
遺言執行者が指定されていても、その人が執行者に就職しない場合は、別の人を候補者として申し立てることも可能です。
この執行者ですが、遺言で指定されてすぐに就任するとは限りません。
10年先になることもあります。
先日拝見した遺言には、弁護士先生のお名前が記載してありました。
ご家族にお伺いしたところ、遺言者と親しかった先生だそうです。
その先生のアドバイスもあったのか、とてもしっかりした遺言書でした。
ところが、この先生は、遺言者と同じ世代の先生で、今はかなり高齢だろうと思います。
相続人が弁護士会経由でその先生に連絡をとろうとしたものの、現在は実務をされていらっしゃらないようでした。
せっかく信頼して指定していらっしゃったのに、これではお願いできそうにありません。
一個人の先生にお願いする場合、こういうことは結構あるのではないかと思います。
まずは、指定されている先生の現況について確認します。
先方にアクセスしてみる必要がありますね。
ここで、少し注意が必要なんです。
「あなたは、私の父の遺言の執行者です。亡くなりましたので、やってもらえますか?」と言いたいところだと思います。
ところが、これは民法でいうところの「催告」にあたります。
遺言執行者に就任するかしないか、回答を求めることです。
なぜ、こうしたらいけないかと言いますと、「催告」をして、一定期間内に回答が得られない場合、なんと「就任みなし」になってしまうからです。(民法1008条)
高齢の弁護士先生が、何らかの事情で実務をやっている様子がないと知っていた場合、その先生に催告をしてしまうと、「就任みなし」となってしまう可能性があります。
そのつもりないのに、勝手に就任したことになってしまっては、みんな困ります!
ということで、催告に当たらない様とりあえず、「ただの」連絡を試みます。
電話にでない場合は郵便でもOKですが、「とにかく一度お話したい」といったことにとどめます。
先ほどの民法1008条の催告ですが、状況から明らかに「執行者に就職の意思が認められない場合(黙示の拒絶の意思表示が推測できる場合)」には、催告を必要としないと解釈できるとした判例があります。
状況証拠で、どう考えても就職する意思がないと推察できる事実を確認できればいい訳です。
したがって、弁護士先生の現在の状況の確認をする目的で連絡を試みるのです。
今回の場合、数日後に奥様と名乗る女性から連絡がありました。
「主人は、今仕事をしておらず、お受けできません。」(受任できない旨の書面をいただけないかというと)「現在施設に入っており、健康上の問題もあり、そのようなこともできません。」
話の内容から、弁護士としての仕事ばかりか、通常メモをとったり話をしたりも難しい状況であることが伺えました。
この場合、弁護士先生から直接「ひき受けるかどうか」回答がなかったとしても、「就職拒絶の意思が明らか」であり、新しく裁判所に「催告なしの遺言執行者選任の申し立て」も認められると考えられます。
この事情をもって、新しく執行者の選任を申し立てをした事例でした。
遺言執行者、任意後見人、死後事務委任の受任者、、、ご本人が信頼して、契約を結ぶことは多いですが、その頼まれた人も高齢の場合は、もしかしたら、受けられない可能性もある。
そういう可能性も想定して、準備を進められたらいいですね。
子供のころは絵ばかり描いてました。
先日仕事で横浜の海の方に行ったら、通りで水彩画を描いてる方を沢山見かけました。
お天気のいい日で、のんびり絵を描きながら日向ぼっこができたらいいなぁと思いました。