保証意思宣明公正証書

保証契約とは、貸主Aさんと借主Bさんとの間でお金を貸す契約をした場合に、万が一Bさんが返せなくなった場合の担保として保証人CさんがAさんとの間で締結します。
もし、債務者Bさんが払えなくなったら、代わりに払ってね。ということです。

「保証委託契約」と「保証契約」は違います。
保証契約:AさんとCさん   保証委託契約:BさんとCさん
つまり「保証委託契約」とは「保証契約」を締結するよう、「委託」する契約です。

民法の改正で、お金を借りる契約が事業目的であり、かつ保証人が個人の場合は、その保証人個人の意思をきちんと「公証役場」で確認して公正証書を作成しなければ、その効力が発生しないとされました。

個人的な借金より、事業の借金の方が規模が大きいですよね。この保証を個人でするということは、相当な負担であり、もしかしたら、大きな悲劇に発展する可能性がある。

だから事前に「本当に大丈夫よね」という確認は念入りにしなくてはならないし、これを「公証役場」で「公証人」による「公正証書」で作成しなくてはいけないという規定が作られました。(民法465条の6)

この公正証書のことを「保証意思宣明公正証書」といいます。
そして、これは保証契約締結前1ケ月以内に作成されたものでなければなりません。

ただし、これには例外があります。
債務者と非常に近しい関係者。一緒に事業をやっているような方が保証人の場合は、公正証書で意思確認をする必要はないとされています。具体的には以下のような方です。(民法465条の9)

*債務者が「法人」の場合 
・その法人の理事、取締役、執行役またはこれらに準ずる者
・その法人の議決権の過半数を直接的・間接的に有する株主等
*債務者が「個人」の場合 
・主債務者と共同して事業を行っている者
・主債務者の事業に現に従事している主債務者の配偶者

ご自身で作った債務ともとられかねないので、そこは責任をとるような立場の方々です。

保証契約を締結する条件が厳しくなったということは、それだけ保証人となろうとする人を保護すること。
「軽い気持ちで」「いいよ」と言ったら、いつのまにか保証人になっていた、という事態を防ごうとする動きです。

こんなところでも「公正証書」が活用されているのです。
銀行の事業用融資では、この規定にのっとった公正証書が活用されています。




This entry was posted in 民法.

コメントを残す